ターン21 歯車たちの不協和音
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「さて、と。どうしてくれようかねこいつら」
空き教室のひとつで、清明が腕を組む。こいつら、というのは言うまでもなく、昼間から堂々と校内へと襲い掛かってきたテロリスト2人組のことである。当初は校庭端の適当な木にまとめて縛り付けて尋問の準備だけ整えておこうと思ったし事実そうしていたのだが、場所の都合上ほぼすべての教室から丸見えとなるため全校生徒が常にその一挙手一投足に注目を注いでいる状況に辟易して校内へと引きずり込んだのだ。
「とりあえず、お姉様に連絡を入れるべきではないでしょうか」
おずおずと意見したのは、ちゃっかり彼に付いてきていた八卦である。あれだけ派手に暴れた後でその日のうちに何食わぬ顔して教室に戻れるほど、少女の神経は図太くない。
「あの、お姉様って……?」
そしてその横で少女の服の端を掴む竹丸が、さらにおずおずと問う。本来ならば彼女は日常に戻った方がいいのではないかと清明自身は思ったりもするのだが、先ほどまでのトラウマやさらされる好奇の目、どのみちどこかで事情聴取に諮りだされるであろう可能性を考えるとこちらに来たくなる気持ちもわからなくはないので何も言わない。少なくとも教に関しては、教室よりも自分たちのそばにいた方が彼女としてもまだマシだろう。
「お姉様……つまり糸巻さんね。とりあえずさっき連絡は入れたけど、向こうは向こうで鼓さんともどもちょっとばかし立て込んでるみたい。一応鳥居君がこっち来るとは言ってたけど、今一つそれがいつになるかはっきりしなくてねえ」
「糸巻さんに鼓さん?それって確か、朝に話したデュエルポリスの人たちだよね。八卦ちゃん、デュエルポリスとも知り合いなの?」
「あー、えっと、その……はい」
目を丸くして問いかける友人にしまったという表情を浮かべ、少女にしては珍しく歯切れ悪く視線を泳がせた末に消え入りそうなほど小さな声で肯定する。しかし彼女の興味はどちらかといえば、友人の隠し事よりも少しだけズレたところを向いていたようで。
「そ、それじゃあもしかしてこの人も……?私たちとそんなに変わらないように見えるけど」
「いや、清明さんはそういうわけじゃないんですけど……ええっと」
いまだ気を失ったままの縛られた2人組を前に腕を組む清明を指さし、ひそひそと声を潜める少女たち。どれだけ小声になったところで他に何も音のしないこの教室ではいくら離れたところで彼にも丸聞こえなのだが、どちらもそこまでは気が回らなかったようだ。彼としてもここで助け舟を出してもよかったのだが、少女が自分について普段どんな印象を抱いているのかという若干意地の悪い好奇心からあえて気が付かないふりをする。
そして困りきったのが、答えに詰まった少女である。知り合ってかれこれひと月以上経つにもかかわらず、いまだそ
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