第4話
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・何だキサマ?』
アナザービルドは殴られた頭部を摩り、怒気を隠すことなく琴音にぶつける。
「私は、その人の友達だから・・・・・・だから、その人を離して!」
「何やってんだ・・・・・・俺の事はいいから、逃げろ!」
「イヤ! もう嫌なの! 誰かが死ぬのは!」
琴音は俺の必死の叫びも無視して尚アナザービルドと向かい合う。だけど、その声は明らかに萎縮してしまっていて、足もガクガクと震わせている。自分の家族を殺したかも知れない怪物に今この瞬間自分が狙われてるのだ。それでも僅かな勇気を振り絞った彼女を、アナザービルドは尚も笑い。
『そうか・・・・・・なら、お前から死ね』
「・・・イヤ、来ないでっ!!」
琴音は反射的に鉄パイプを振るう。しかし小柄な身体で鉄パイプを振るうには荷が重く、上段の大振りとなる。アナザービルドはそれを片手で受け止め力を入れるだけで・・・・・・
バキッ!
丈夫な鉄パイプを、いとも簡単に粉砕する。驚愕と恐怖に硬直していた琴音の首元を、アナザービルドは乱暴に掴み、宙へと持ち上げた。
「ぁっ・・・・・・はな、して」
「やめろぉ・・・・・・!!」
『HAHAHA!! イイ! もっと貴様の絶望を聞かせろ!!』
動け! 動け!! 動け!!!
今、この瞬間助けられるのは俺だけだろ!!
そう何度も自分に言い聞かせても、身体は動こうとしない。一度折れてしまった心が、立ち上がろうとするのを拒否してしまっている。
「・・・・・・畜生」
こう燻ってる間にも、琴音の命は瀬戸際まで追いやられている。誰なのかも分からない見ず知らずの他人に、手を差し伸べてくれるそんな優しい女の子が、コイツらの欲望に巻き込まれて、その生涯を終えようとしてる。
そこまで考えたところで、俺は唐突に、この世界に怒りを感じた。
なんで琴音や、琴音達のような「今この瞬間瞬間を必死に生きる人達」が排斥され、強者のみが生き残らなければならないのか?
そんな事は認められない。絶対に。
諦めるのか――?
「・・・違う」
また、見捨てるのか――?
「・・・・・・違う」
『手が届くのに、伸ばさなかったら死ぬほど後悔する。それが嫌だから俺は手を伸ばすんだ』
『見返りを期待したら、それは正義とは言わねぇぞ』
俺は──!!!
「・・・・・・うおぉおおおおおぁぁぁぁっ!!」
1度は折れた心の熱に再び火が点る感覚。俺は歯を食いしばりながら立ち上がる。体中はハッキリ言って限界を超えてる。体中は悲鳴を上げ、ふらつき、未だに息は荒い。意識も朦朧してる。だが、たったそれだけだ。
彼女は恐怖に
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