第4話
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ない人の命を奪った?
「うわぁぁぁああああっっっ!!」
錯乱した俺には、最早アナザーライドウォッチを取り出す余裕すら無く、生身のままアナザービルドへと走り、拳を振るう。その拳をアナザービルドは簡単に受け止め、俺の腕を捻る。関節から悲鳴が上がり、俺の表情も段々と苦痛に歪む。
その光景は、変身しなければただの無力な人間であると思い知らされる。
「ァッ、がっ・・・・・・!!」
『あぁ、最高ッッダ!! お前の絶望が拳からひしひしと伝わってくるゾ・・・・・・!!』
そしてアナザービルドは、空いたもう片方の拳が俺の脇腹を抉る。
「・・・・・・ァッ」
俺は宙を舞って、地面に何度か身体を打ち付け、壁にぶつかってようやく止まる。それと同時に、口から血を吐く。呼吸が浅くなっていくのが自分でもよく分かる。正直、生きてるのが不思議な位だ。
『フン・・・・・・以前の減らず口はどこに行ったァ? この糞ガキが・・・!!』
「ぐぁああああぁあ!??」
薄れていこうとする意識。しかしアナザービルドは俺の身体を踏みつける事で留められてしまう。最後まで苦痛を味合わせてから、じっくり殺す気なのだろうか。
痛い。
苦しい。
楽に・・・・・・なりたい。
そう認識した瞬間に、俺は戦う意志を失った。心が、ポッキリと折れてしまった。
いや、やっと折れたんだ。
刻一刻と近づいてくる己の死を、俺はどこか望んでいたんだ。思えば、この世界に来てから何一ついい事なんてなかった。助けた人間達からも拒絶され。俺も自然と誰かを助ける事も忘れ。
残った物は、死者たちの呪詛と死体の丘。
そう言えば、琴音はちゃんと逃げてるのだろうか・・・・・・。昨日出会ったばかりの少女の顔が、一枚の写真に切り取られては頭をよぎってくる。
でも、今度はもうちょっと・・・・・・
『死ね』
アナザービルドの拳が振るわれる。
「マシな形で出会いてぇな・・・・・・」
俺は目を閉じ、数秒後に訪れる己の最期の瞬間を待つ。
5秒。
10秒。
ここで俺は、ようやく異変が起きている事に気づいて、瞼を開ける。アナザービルドが先程まで俺を殺そうとしていたのは知っている。しかしアナザービルドは俺へのトドメを刺さず、視線を別の方へと向けていた。俺はアナザービルドの向いた方向へと向けて・・・・・・
「・・・なん、で?」
そこには、今朝共に過ごした琴音が立っていた。両手には、先端が折れ曲がった鉄パイプをアナザービルドへと向けている。そこで俺は、ギリギリの所で彼女に助けられた事に気づいた。でも、どうして?
『・・・・・
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