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提督はBarにいる。
提督式ブートキャンプ・改〜その2〜
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意味があるのでしょうか?」

 この様な行為に意味など無いだろう、そう言いたげな顔でパースが質問してくる。

「新年会の時にも説明したが、ウチの鎮守府は少々特殊でな。規模の大きさ故に大規模作戦の際などには他の攻略艦隊への支援艦隊の派遣やCSAR……戦闘捜索救難に駆り出される事もあるし、平時の任務でも企業などから依頼を受けて船団護衛任務を行う事も多々ある」

 特にもCSARは大変だ。戦闘地域での艦隊からの落伍者を捜索・救難するという事は『連れ帰って』初めて任務完了という事だ。それも、敵に囲まれる可能性の非常に高い状況下でだ。

「その際、何が求められるか?戦闘能力も勿論大事だ。敵の包囲を突破できるだけの実力が無くては、捜索隊が二次遭難を起こしかねん。しかし戦闘能力よりも重視すべきは継戦能力……ズバリ、スタミナだ」

 捜索救難任務を例に取ってみよう。敵との遭遇を避けつつ、落伍者を捜索して救助、そして戦闘地域からの撤退。ただ戦闘するだけよりも数倍の労力と燃料を消費する。しかし、艦娘の艤装に増槽を取り付けて航続距離を稼ぐにも限界がある。増槽=可燃物の塊だ。そんなものをぶら下げて戦闘が出来る程、深海棲艦はぬるい敵ではない。

「ならばどうするか?平時の燃費効率を上げればいい。その為にお前らには艤装コアを着けた状態でも日常生活が送れる位までになるように微細な力のコントロールを覚えてもらう」

「仰りたい事は解りました。しかし、何故この様な簡素な食器なのでしょう?」

 苦言を呈してきたのは神州丸だ。この訓練に関わっている連中の食器は俺の分も含めて全て金属製に統一してある。

「まぁ、その辺は実際に食ってみれば解るさ。んじゃ、いただきます」

『いただきます』

 全員の唱和で昼食が始まる。と同時に、テーブルのそこかしこでメキッ、だのバキッ、だの食事中に聞くはずの無い音が響く。見れば、スプーンを握り潰している奴がいたり、皿の縁を引きちぎっている奴がいたりか。酷い奴だとコップを握り潰して水浸しの奴までいる。

「お〜お〜、ここまで狙い通りだといっそ清々しいなオイ」

「成る程、力の制御が甘いと艦娘の馬力に耐えきれずに壊れてしまうという訳ですか」

「流石だな神通」

 神通と響は平然と食べ続けている。長年の経験から、どの程度力を掛けると不味いのかを感覚的に解っている為だ。

「一応この食器類は全てチタン合金製なんだがなぁ。お前らのパワーは2割程度でもそれだけの破壊を引き起こす事が出来ると自覚しろ」

 はぁ、と溜め息が漏れる。無意識に出てしまった。

「艦娘として一度海に出れば、人命救助の機会も無いとは言い切れん。だが、その時に力加減を間違えてみろ。あっという間に人間のミンチの完成だ」

 それ
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