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ソードアート・オンライン クリスマス・ウェイ
湖の夜(1)
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に倒せないわよね……?」
「そりゃ、もちろんイベントボスを倒すさ。倒して明日のMMOトゥモローの三面記事より、もうちょっと小さい、六面記事くらいに名前をのっけてやる」
「……釣れるといいね」
「正直、釣れなくても良いと思ってる。この手のイベントクエストって新アインクラッドになってから、いろいろ変化してるし、前と同じ条件でつり上げられるかは……やってみないとわからないだろ」

 ぴぴっ、と竿を動かしてみる。水面を這うようにウキが揺れるが、いまのところヒットの手応えはない。

「そういえばニシダさん、元気かしら。キリトくんは連絡先を知っているんでしょ?」
「ああ。一度だけメールに返信があったよ。こっちでの経験生かして、脱サラして釣具屋やるつもりらしいよ。用意ができたら呼んでくれるってさ」
「へえ……楽しみね、それ」
「そうだな……。それにニシダさんがいなきゃ、俺はここの湖の主にバカにされたまんまだったんだよな……。釣れない理由にも心あたりあったし……」
「なあに? その釣れない理由って」

 しまったついよけいなことを口にしてしまった。時や遅し、だが何とかごまかすべく口を開く。

「えっと……言わなきゃ、ダメ?」
「聞いてみたいけど」
「……ぜんぜん釣れない理由を『美人の奥さんゲットでリアルラックを使い切った』せいにしてました」
「……」

 二の腕あたりに絡んでいたアスナの腕から力が抜けた。さすがに引かれたかなぁ、そうだよなぁ、引かれるかなぁ、だから伝えるの躊躇したんだもんなー、なんてしまりのない思考をおさえつつ、首をギコギコいわせながら何とか視線を隣にむけると――。
 驚いたことにほんのりと頬を赤く染めたアスナがいた。
 あんまりにも不意打ちの表情だったの俺は口をぱくぱくさせてしまった。てっきりあきれ顔なりなんなりされていると思ったから、余計に。
 アスナがやや瞳を潤ませながら、桜色の唇をほころばせる。

「ばか……そんなところでラック使い切っちゃってたら、きっといま一緒にいられないよー」
「そ、そうでした」

 頬に朱をちりばめながら、アスナはもう一度腕を強くからませ、俺の肩に頭を預けてくる。

 衣服の3Dオブジェクトを透過して感じる体温がある情景を想起させた。
 お互いの死すら覚悟した、アインクラッド崩壊の日。
 二年間置き去りにしてきた名前を伝えてお互いの名前を狂おしく叫び、魂の奥底から感情を絞り出し、互いを求めたあのときの思慕が、いまさらになって胸をくすぐる。

 二度と味わえないと思っていた体温が腕の中にある。それが愛おしくてしかたなくなった。
 アスナの体温をしっかりとかき抱くべく、肩に手をまわして引き寄せる。
 こうしていないとまた、どこかに行ってしまうのではないかと、強
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