第百二十二話 台湾沖でその十一
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「ここはだ」
「どうするのかしら」
「進路変更だ」
リーは言った、だがこの時彼もシェリルも気付いていなかった。二人は既に芥川の策にかかっていることを。
そのうえでだ、こう言うのだった。
「南南西だ」
「そしてなのね」
「敵が台風の力を吸収する前に叩くか」
「若しくは」
「そうだ、吸収している時にな」
「仕掛けるのね」
「そうする、台風ともなればだ」
それこそというのだ。
「かなりの力でな」
「それを吸収するとなると」
「どうして吸収するかわからないが」
「何かの装置を開発したのかしら」
「そこまではわからないが」
それでもとだ、リーはシェリルにさらに話した。
「だがだ」
「かなりの装置であってね」
「それを使って吸収するにしてもな」
「かなりの時間がかかるわね」
「コントロールの必要もあるしな」
「ではその間に」
「我々は攻撃を仕掛けてだ」
そのうえでというのだ。
「勝つ、いいな」
「わかったわ、ではね」
「進路を変更だ」
リーはこのことを正式に決定した。
「南南西だ、そしてだ」
「日本が台風を吸収するその時に」
「狙う、敵の移動要塞の速度と我々の無何有郷の速度を考えるとな」
蓬莱のそれは偵察でわかっている、それも計算してのことだ。
「そうしてだ」
「勝つのね」
「そうする、これが初戦となるが」
「その初戦で勝って」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「そこからだ」
「他の勢力にも勝っていくわね」
「そうしていく」
「ではね」
「もう手筈は整った」
それは既にというのだ。
「戦の準備はな」
「そうね、敵の準備も整っているけれど」
「我々もだ。ではな」
「進路を南南西に転換ね」
「すぐにそうする、そして無何有郷にいる全員にだ」
その彼等全てにというのだ。
「いつも通りだ」
「食事はね」
「ふんだんに摂ってもらう」
こちらもというのだ。
「酒はまだだがな」
「飲む時は」
「勝利の時だ」
まさにその時だというのだ。
「その時に飲む」
「そうね、戦を前にして飲むことはね」
「しない」
酔って満足に戦えないからだ、リーはそこを気を付けてそのうえで今は酒は禁じているのだ。無論それは自分達も同じだ。
それでだ、リーはシェリルにこうも言ったのだ。
「では我々は茶かな」
「コーヒーね」
「どちらかを飲もう」
「私はレモンティーにしておくわ」
「アメリカ風にか」
「コーヒーもいいけれど」
それ以外にもというのだ。
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