第百二十二話 台湾沖でその十
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「これはわからん」
「何故ここで台風に向かうか」
「あの、台風に向かったら」
またグレイカスは言った、腕を組み考える顔になりつつ。
「台風にぶつかってね」
「戦より前に損害を受ける」
「それもかなりね」
「台風は地震と並ぶ自然の驚異やが」
ハウオファはまた言った。
「それに自分達から向かうとか」
「自殺行為でないと説明がつかないけど」
「日本は何を考えてる」
「あれこれ考えちまうが」
リサールは日本の浮島である蓬莱を見つつ話した。
「それは後にした方がええか」
「日本から空船と軍勢が来たわ」
ハウオファはそちらを見てリサールに応えた。
「下でも軍艦が動いた」
「さっさと逃げるか」
リサールはハウオファに返した。
「ここは」
「話をするのはそれからやな」
「無何有郷に戻ってからな」
二人で話しグレイカスも同意して頷いた、そうしてだった。
三人が乗る空船は素早く撤収した、そのうえで三人は自分達が見たことをリーとシェリルに話した。
ここで三人は二人が答えを出してくれると思っていたが。
リーもシェリルもだった、その話を聞いて戸惑うばかりだった。
「どういうことだ」
「台風に向かうとは」
「芥川君の考えなのはわかるが」
「一体何を考えているのかしら」
「これはわからない」
「どういうつもりなの」
二人共南洋の棟梁の座で戸惑いを見せる、そしてだった。
リーはシェリルに真剣に考える顔で述べた。
「自殺行為である筈がない」
「それは絶対にないわね」
シェリルもそれは否定した。
「絶対に」
「それ位なら最初から戦に参加しない」
「その通りよ」
「これは何か考えがある」
「それは間違いないけれど」
「どういった考えだ」
「台風の力を取り入れるつもりかしら」
シェリルはここでこう考えた。
「まさか」
「台風のか」
「ええ、それでその力をね」
「我々に向けるか」
「例えば台風の力を吸収して」
その様にしてというのだ。
「その嵐の力を私達にぶつける」
「この無何有郷にか」
「そうじゃないかしら」
「自然の驚異を使った戦術ならな」
そう考えると、とだ。リーはシェリルに述べた。
「それならな」
「わかるわね」
「そうだな、台風の力を吸収し」
「それを私達にね」
「砲撃の様にぶつけてくるか」
「撃ってきてね」
「それならあるか」
リーは考えつつ述べた。
「術の様にか」
「術なら」
それならとだ、四智星の中でも随一の術の使い手としてシェリルは話した。
「そうして使うわね」
「確かにな、ではな」
「ええ、ここはね」
「砲撃の様にして台風の力を放って来る」
「そのことに注意しましょう」
「そうだな、ではな」
リー
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