第3話
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俺達の肥大したエゴが、戦いとは無縁な女の子の生活をも変えてしまったのだと改めて突きつけられているのを感じていると、琴音が心配そうに様子を伺ってくる。隠せてるつもりでも、顔に浮かんでいた曇りまでは誤魔化せなかったらしい。
「……どうかした?」
「いや、別に。イイ部屋だなって」
「でしょ? 内装には拘ってるんだ〜。まあでも、壁に穴空いてるのは勘弁してね。お茶でも飲んでて待ってて。すぐご飯作るから」
琴音は笑ってそう言うと、俺にお茶の入ったグラスを出してくる。俺は机に出されたそれを手に取り、お茶を飲みながら待つ。
「お待たせ! これが採れたての野菜だけを使ったサラダ。で、ご飯と味噌汁と卵焼き。あと魚の開き。ホントなら美味しいやつ作れるんだけど、今の状況じゃ作れるやつに限りあるからさ」
琴音は申し訳なさそうに詫びの言葉を入れるが、食他に並べられている料理の見栄えに、俺は舌を巻かずにはいられなかった。
「それじゃあ…………頂きます!」
「…………頂きます」
琴音は箸を両手にとると、頂きますといい、早々に食べ始める。 そんな彼女の言葉に続くように俺も箸を手に取り、アジの開きの身をほぐし、口に入れ、味わうように咀嚼を繰り返す。
何十回も噛んで飲み込み、琴音の方へと顔を向けて素直な感想を口にする。
「……美味しい」
「ホント? 良かった!」
彼女の目もくれず、俺はひたすら食べ続ける。琴音はそれを見て驚きつつも、俺が完食するまでの間、微笑ましそうに両肘を机の上に起き、両手を両頬に添えて何処か嬉しそうに見ていたのだった。
「なんか悪いな、その」
「ううん、気にしないで」
風呂を済ませ、時刻が21時を指す頃には俺達はかなり早めの就寝になろうとしていた。最初は「床で寝るからアラタはベッド使っていいよ」とまで勧められはしたが、流石に転がり込んだ身で贅沢など言える度胸は俺には持ち合わせてなかった。
俺が床で寝るかベッドで寝るかでそれなりに話が膠着してしまったが、何方かと言えば野宿をしてる方が多かったし、自分は床でも有難いから大丈夫。と言うと、彼女は渋々と引き下がってくれた。
俺は用意してくれた毛布を被り、掛け布団で体を覆うと寝着へと着替えた琴音に一声掛ける。
「その、お休み」
「うん、お休み」
そのやり取りをした後、部屋の電気が消える。
それから数時間経つも、初対面の人、それも異性の人と同じ屋根の下で寝ているという状況下に意識しているのだろうか。なかなか寝付けずに、とっとと意識を手放そうと蠢いてると。
「・・・・・・ね、まだ起きてる?」
「あぁ、起きてる」
既に寝てると思われていた琴音に話
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