プロローグ
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亡の選択肢を選ぼうとしたが、意を決してその竜に闘いを臨んだ。
しかしそれは、無謀にも等しい行為。
当時最前線に立つプレイヤーと同等のレベルだった彼でも巨大な竜、付け加えパーティを組んで挑むのが基本なフラグMobに対してたった一人で闘うのだ。余りにも危険過ぎている。
自慢のソードスキルも竜の抜群の回避力には敵わず、また一定時間経つと共にHPが僅かに回復する《バトルヒーリング》も持ち合わせていた為、彼の方が圧倒的に不利なのは当然の事実だった。
竜が放つ攻撃も容赦なく、広範囲のブレス攻撃や突風、両翼での突撃等、苛烈な猛攻が彼のHPバーを奪い続ける。一歩油断すれば死に至る激闘を前に、ダメージを受ければ惜しみなく回復結晶を使い、相手の攻撃は避けれるものならば極力避け、カウンターを狙う戦法を続けた。例え飛竜のHPが数分毎に回復しても、彼は決して諦めなかった。
何が彼を其処まで突き動かしたのは分からない。それは彼と神のみぞが信じる"真実"。
しかしその闘いの結末は、意外な形で幕を閉じる。
回復結晶も底を尽き、HPバーも赤の危険域に到達した事に死を覚悟した彼は、最後の足掻きの一撃を竜に与えた。彼が放った槍の一撃は竜の額に埋め込まれていた宝珠に直撃し、宝珠は甲高いガラス音を上げると共に砕け散った。すると先程までカインを追い詰めていた竜は突如として大人しくなったのだ。
訪れた静寂の中で竜は告げる、「何と……我の猛攻を凌ぎ、尚且つこの宝珠を砕くとは。その業、見事なり」と。
その言葉から察するに竜の撃破がこのクエストの達成条件ではなく、『竜の額に埋め込まれている宝珠を砕く事』が条件だったのだろう。
竜はその言葉を最後に数多のポリゴンに姿を変え、彼の身体に消えて行った。
フラグMpb撃破と言う名誉と同時に彼に齎せたのは、スキルウィンドウの最後の一つに与えられた、《飛翔》のスキルだけであった。
《飛翔》はその名の通り天高く跳躍し、敵の頭上から強烈な一閃を与える事の出来るスキルだった。一撃の威力も高く、ソードスキルの威力も両手槍のソードスキルとは段違いの威力を有していた。
しかし同時に《飛翔》は多くの制約を抱えていた。天高く舞い上がるのが前提な為、室内や狭い洞窟
等ではスキル自体を発動する事も儘ならず、また予備動作が大きいが為に避けられやすく、尚且つ連携にも組みにくいスキルであった―――――が、カインはこの多くの制約を抱える《飛翔》を糸も容易く扱い、攻略組の一角として最前線で活躍した。
彼は様々な場面で出し惜しみする事無く《飛翔》を使い、立ち塞がるモンスターを屠り続けた。
華麗に宙へと跳び、流星の如く飛来してモンスターにダメージを撃破するその姿は、他プレイヤーを魅了させると共に羨望の念を
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