暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜天翔る竜騎士〜
プロローグ
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――――《アインクラッド》の何処かに存在するある特別な場所。其処に条件を満たして立つと、不意に謎の声が響きプレイヤーに問い掛けてくる。その問いの答え方次第で、プレイヤーは謎の声の主と闘う事が出来、勝利を得た暁には"地に縛られぬ強き力"が与えられる。しかしその声の求める答えを出せなかった者は声の主の怒りを買い闘えず、絶望を味わう事となる―――


 2023年5月頃、丁度最前線・第25層で《軍》の精鋭が大被害を受けた頃と同時期に、数多くのNPCがこの様な"噂"を喋り始めた。そしてこの話を聞いたプレイヤー達は一瞬にして理解する。「これはクエストだ」と。

 プレイヤー達の行動は驚く程に迅速だった。様々な場所で検証が行われ、多くのプレイヤー達がその検証に加わった。フィールドの奥地、山の頂上、ダンジョンに配置された洞窟の奥底等々………有志あるプレイヤー達は数週間に渡っても尚諦めず、ただ只管に検証に没頭する日々を続けた。
 HPバーが尽きる事が"死"であるこの世界ゲーム―――《ソードアート・オンライン》においての力とは、即ち生きる為の力と同義。強き力に飢えるのも無理はなかった。

 しかし遂にその場所が発見される事は無く、一時期毎日の様に噂していたNPCも普通通りの会話に戻った。クエストの発生期間が終了したのだとプレイヤー達は理解し、大いに賑わった検証は静かに終わりを告げた。



 だがそれから数日が経った時、ある一人の青年が二十三階層に存在する《忌々しき峡谷》でその謎の声の問い掛けを受け、正しき答えを返答、そして見事勝利する事に人知れず成功していた。
 勝利によって齎された肝心の"地に縛られぬ強き力"とは《ユニークスキル》の事であり、彼が得たスキルの名は《飛翔(ジャンプ)》。超人的な跳躍力で空を跳び、死角となる上空から襲撃する姿は、多くのゲーム内で存在する、高く跳び上がり敵を突き刺していく『竜騎士』の様を髣髴とさせた。

 彼は確かな情報を持って《忌々しき峡谷》に向かった訳ではない。モンスターの遭遇エンカウント率が高いこの場所でレベル上げをしていた彼は、深夜に峡谷の奥地に位置する広く平たった台地の上に立っていた時に噂の中心であった"謎の声"を耳にしたのだ。
 丁度青年が立っていた場所がダンジョンの奥地であり、時刻は夜中12:00丁度。
 恐らくこの場所・この時間帯が条件だったと思われるが、それを知らずに満たしてしまった青年はかなりの幸運の持ち主だと言わざるを得ないだろう。

 青年が出会った謎の声の主は――――(ドラゴン)だった。
 しかしその躯体は迷宮区のボスモンスターで出現してもおかしくはない程巨大で、相当な威圧感を放っていた。
 彼は問い掛けに答えたのは良いものの、現れた竜の余りのレベルの高さと威圧感に一度は逃
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