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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
緋神の巫女と魔剣《デュランダル》 V
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じくして超偵である白雪を後方に回してしまったことだ。十分に《魔剣》に対応できるだけの即戦力として考えるならば、欠員は1人でも惜しいのだ。
まぁ、それでも──。
「俺以外にも、アリアとキンジがいる。穴を埋めるのみならず、盛り上げるには十二分だろう?」
「超偵を『1』とするならば、武偵はその半分にすら満たない。十二分と睥睨するのは、些か早計だと思うが」
「なんとでも言っておくれ。生半可な意思では来ていないから」
その言葉を聞き留めた《魔剣》は、甲冑に身を包んだその身?を、外見的な質量に反するかの如く、機敏な動作で操った。
そうして、ずっと背に携えていた西洋大剣を抜刀する。多彩な輝石が埋め込まれ、紋様が彫刻されたそれは、素人目に見ても一級品だと答えざるを得ない。最早、そんな芸術品だった。
「私は《
魔剣
(
デュランダル
)
》と呼称されるのは些か虫唾が走る。他人が好んで呼ぶ名を、私は好まないのでな」
《魔剣》──いや、今しがた彼女が告げた言に従えば、その真名はジャンヌ・ダルク30世。
史実によれば、ジャンヌ・ダルクは火刑に処されて死亡したとされている。だからこそ、30世などと名乗るのは通常では違和感を覚えるところだが……。まぁ、それはさておき。
「ただ、この剣に関してだけは、皆その名を口にせねばならない。……聖剣デュランダル。良き銘だろう?」
「銘が良くても、実力が伴わなければ意味がないんじゃない? いくらアンタが《イ・ウー》の策士だとしても、ね」
文字通り、アリアは背後から《魔剣》ことジャンヌ・ダルクを睥睨する。あからさまな安い挑発だ。
こんなことが彼女に通用するのか否か、いちばん分かっているのはアリア自身のはずだけれども。
それとも、そこまで虚勢を張らねばならないほどに──裏を返せば、挑発して戦いを起こそうとするほどに──この状況下を、吉と見ているのかもしれない。
「ホームズ家の劣等種に言われるほど私も落ちぶれたか? 笑止にも程があるぞ、神崎アリア。最後に泣くのは貴様らだ」
「……最後に笑うのはアタシたちよ!」
「ふん、良いだろう。そこまで言うのならば──」
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