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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
緋神の巫女と魔剣《デュランダル》 V
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白雪を先に──」
「そんなことは知ってるわよ。ほら、理子。手伝いなさい」
「うーっ、らじゃーっ!」
理子は珍妙な両手式敬礼のようなポーズで返答すると、真っ先に白雪の側へと駆け寄った。慣れた手つきで彼女の腕を自分の首元に回すと、言葉を交わす。
「えっと、白雪ちゃん……だっけ? これから武偵病院に行くよっ。大丈夫? 立てる?」
「うん、何とか。……ありがとうございます」
「あっくんに頼まれたんだー。お礼ならあっくんに、だよ」
言い、理子は白雪を介抱しつつ立ち上がる。
そうして、彩斗に胸中で感謝するのだ。自分の居場所を作ってくれたことと、彼なりの優しさという感情の権化に。
頬が綻ぶのを感じながら、理子は彩斗に向かって叫んだ。
「あっくん、武偵病院まで繋いで!」
「……白雪のことは任せたよ。こっちのことは心配しないで」
「そっちこそね! 《魔剣》は、任せたから」
互いに笑みを交わし、彩斗は物憂げに《境界》を開く。理子は自信に満ちた顔付きで、白雪と共に《境界》の奥へと。
アリアはその間にキンジへと向き直り、再三再四、幾らか問い質している。「毒のダメージはどうなの?」「闘えるの?」と。
それが結論を出したようで、アリアは彩斗の方へと向き直った。
「──じゃ、そういうことね」
◇
「──じゃ、そういうことね」
アリアは自信と悦楽に満ちた声色で、俺に告げた。
それはつまり、俺とアリアは勿論のこと、キンジも戦力として扱うに等しいということを示唆しているのだ。
「キンジ。本当に……大丈夫なんだね? いいの?」
「白雪を守れなかった当事者が逃げてどうすんだよ。個人的に、《魔剣》には恨みがある。是非とも晴らしたいところでな」
「ふふっ、元気でよろしい」
思わず、旧友の一途なまでの感情に笑みが零れる。
そうして──この無機質に囲まれた地下倉庫を舞台に、パートナーたるアリアとキンジを控えて、俺は《魔剣》へ告げるのだ。
開戦の合図を。その、一言の前段階を。
「というわけだ、《魔剣》。俺は仲間を傷付けた君を許さないし、キンジもそれは同じだろう。アリアに至っては母親の冤罪を晴らす、大きなキーマンにもなっているのだからね。仮にここで降伏すれば、悪くはしないが?」
今後一切の手出しをしないのならば、これ以上待遇を悪化させることはしない──そんな意を露わにしながら、俺は目を細めて《魔剣》を見据える。冷酷で冷淡な瞳が、見つめ返した。
「……戯言を」
《魔剣》は小さく溜息を吐く。それはさながら、氷華を紡ぐ下露のようだった。あたりの空気は緊迫し、否が応にも心臓に早鐘を打たせる。自分に叱責の言葉を
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