第一部
火花
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闇は優勝できると思う? 言わなくても解りきってるけど一応は聞いとかなきゃね」
焔の問いにレイアは溜め息を洩らす。
「断言したくないんだけどなー」
言葉に詰まった。既に結論は出ている。だからこそ困っているのだ。
「兄さんも多分あたしと同じだよ」
焔が目を瞑る。
「どう足掻いても」
レイアの続きを焔が紡ぐ。
「負けるのは紫闇だ」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
控え室を出た紫闇は入場口に向かう。
ベストコンディションである。
「いきなり来るからな、あの体調不良」
大丈夫だろうか。
入場口を出て花道を歩く。
紫闇と相手に対して声援が飛ぶ。
何万人もの観客から寄せられる注目。
武舞台へ上がった両者が互いを見た。
二人は結界で覆われる。
閉ざされた空間は闘気で歪むよう。
『大変長らくお待たせ致しました。第50回夏期龍帝祭の決勝戦が始まりますっ!』
実況が紹介を始める。
『西方は立華紫闇選手。学年序列は1000位。最下位かつ三軍の負け犬。加えて時に廃棄物とまで揶揄される『規格外』でもあります。しかしこの男は強いッ! どうやって力を身に付けたのかは解りませんが今の彼にはこの場に立つ資格を有していますッ!!』
紫闇にぶつかる声が増えた。
大きくなって。
『東方は《橘花 翔》選手。彼もまた三軍で学年序列997位から這い上がってきた努力の人。予選から準決勝まで全ての相手を一撃でタイムも3秒以内です。歴代レコード全てを塗り替えてしまいましたッ!』
このまま行けば、昨年に《皇皇皇/すめらぎこうのう》と戦って敗れ亡くなった、前・史上最強の魔術師にして【魔神】《神代蘇芳》を超えると言われている。
紫闇よりも沢山の声援。
しかし翔はどうでも良いようだ。
無言で紫闇を見ている。
「江神も凄いと思ったけどお前も凄いな」
「そうか? まあ俺は立華に勝てさえすれば何でも良いんだが」
【龍帝学園】の会長である《島崎向子》の依頼を受けた彼は思う。
(江神春斗と戦うにはまだ早い)
故にここで紫闇を倒す。
そしてまた再起させる。
時間は掛かるがこれを繰り返して少しずつ強くするのが一番確実だ。
(それでも何時まで掛かるか解らん。今の江神と立華にはあまりにも差が有るから)
紫闇の右手に赤い装紋陣が浮かぶ。
「輝け。【紫闇/しあん】」
彼の【魔晄外装】が顕現した。
そ
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