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戦国異伝供書
第七十四話 元服しその六

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「六角家への手切れの文になる」
「左様ですな」
「そうなりますな」
「そしてですな」
「こちらに攻めてきますな」
「大軍を以て」
「そしておそらく」
 新九郎はさらに話した。
「六角家は八十万石、二万の兵を出せるが」
「その二万よりも多い」
「より多くの兵を出してきますか」
「そうしてきますか」
「うむ、そうしてくるからな」
 だからだというのだ。
「二万より多い」
「左様ですな」
「あと五千は来ますな」
「そうしてきますな」
「二万五千程ですな」
「そうしてきますな」
「うむ、だからな」
 二万五千の兵が来るというのだ。
「我等は兵を雇えるとしても千程じゃ」
「合わせて一万一千ですな」
「それでもですな」
「二万五千にはとても劣りますな」
「どうしても」
「それでも戦わねばなりませぬな」
「そうなる、そのことはもう考えてきた」
 まさにというのだ。
「鉄砲も揃え槍も長くしてじゃ」
「兵を鍛えてきました」
「それも常に」
「地の利も頭に叩き込みました」
「ならばですな」
「勝てる、だから手切れと共にな」
 まさにその時にというのだ。
「戦の用意をするぞ、いや」
「今よりですな」
「それは進めていきますな」
「そうしてきますな」
「そうしていく、今は目立たぬ様にするが」
 それでもというのだ。
「進めていく、よいな」
「はい、それでは」
「今よりです」
「戦の用意をしていきましょう」
「そうするぞ」
 こう言ってだ、そしてだった。
 新九郎は自分が言った通りに六角家が言ってきた諱と正室の話を断った、それと共に独立も言った。それを受けてだった。
 六角家は当然ながら怒りそしてだった。
 浅井家との戦の用意に入った、新九郎の読み通り家中の兵達だけでなく兵を雇い入れてそうしてだった。
 大軍を以て浅井家に向かわんという動きを見せた、宗滴はそれを見て言った。
「さて、ではな」
「これよりですな」
「我等はですな」
「戦の成り行きを見ますな」
「そうしますな」
「それだけでよい」
 こう己の家臣達に言うのだった。
「我等はな」
「浅井家はですな」
「勝ちますな」
「そして当家ともですな」
「絆が薄まりますな」
「そうなる、だがな」
 宗滴は難しい顔で話した。
「浅井家が朝倉家と絆が薄まってもよい」
「当家としても」
「それでもよい」
「そう言うのですな」
「うむ、そしてな」
 それでというのだ。
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