第六章 六番目の魔法使い
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1
「いや、よくきてくれたねえ。大きくなったねえ」
ずんぐりむっくリで、なんだか子熊に似ている、樋口大介校長、齢四十七、肘を置いて手を組んで、ニコニコ嬉しそうな顔である。
「はっ、関東なんかきたなかったけど、しゃあないやろ。おとんが恩のあるっちゅう、おっちゃんに声を掛けられたんじゃあ。面倒やけど、しゃあない」
机越しに向き合い立っている、ショートカットの女子生徒は、そういうと、おでこに手を当てて気怠そうな顔で髪の毛を軽く掻き上げた。
非常に整った可愛らしい顔立ちであるが、少しいやかなり気が強そうにも見える少女である。
長い前髪を横に流しておでこを出しているところが、なおさらそうした雰囲気を強調させているだろうか。
彼女の着ているのは、女子制服。
ではあるが、フロックコートっぽい上着に、膝下丈の長いスカートなど、ここ天王台第三中学とはまったく違ったものである。
「うちちょっと雰囲気が緩いから、あの子たちこれでピシッとするといいんだけどなあ。一つ上の学年の魔法使いがいなかったせいで、現在三年生が一人もいなくて、ヴァイスタが出るたびにハラハラしてたんだよね」
「うーん、相変わらずのゴリラ顔やなあ」
全然ひとのいうことを聞いていない女子生徒、腕組みしながら校長の顔に自分の渋い顔を寄せて、まじまじと見つめている。
「いまそんな話してないでしょお? キミが入ってピシッとするとか褒めていたのに、全然聞いてなくてやっぱゴリラ顔やーんとか、おかしくないかなあ?」
「動物園にも飽きてきたし、さっそく教室に行ってくるわ。ほいじゃっ」
女子生徒は、ははっと笑いながらスカート翻し校長室を出ていった。
2
わははははは、
うへへへへ、
品なく大爆笑をしながら、叩き合いながら、平家成葉と令堂和咲が肩を並べて教室へと入ってきた。
「えー、誰でもそう思ったことあるんじゃないのお?」
アサキが、へらへら笑いながらも、納得いかないといった感じに成葉の脇腹を肘で小突いた。
「あるわけないじゃあん」
成葉が小突き返す。
ぎゃははははは、と更にテンション高まった笑いをしながら二人は苦しそうに机をバンバン叩き始めた。
「なんじゃの、一体」
机の上に座って、椅子の昭刃和美と談笑していた明木治奈が、きょとんとした顔で小首を傾げた。
「聞いてよおハルにゃん。アサにゃんったらさあ、一発芸のことをこれまでずっと『一泊ゲー』、酔って帰れず駅
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