第六章 六番目の魔法使い
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遊びはそこまでにして、いくよみんな、変身だあっ!」
リストフォン型変身アイテムであるクラフトを、胸の前に構え、叫んだ。
「なんでお前が仕切るんだあ!」
ボガッ!
「あいたあっ!」
悲鳴。
カズミに頭をぶん殴られたのである。
「ご、ごめんなさあい。一度いってみたかっただけでえ……」
頭をすりすり。
痛覚の敏感なところを直撃されたようで、涙目のアサキである。
「誰の声掛けでもええじゃろ。ほいじゃあ変身しよか」
治奈が、リストフォンを付けた左腕を振り上げた。
「でも治奈ちゃんのなんともほんわかした声が、安らぐからナルハは好きだなあ」
などと軽口を叩きながら、成葉もリストフォンを振り上げた。
カズミに、正香、殴られて涙目のアサキも続く。
それぞれの全身が光り輝いて、白銀の布に身を包まれたかと思うと、下半身が折り返って黒いスパッツ状に変化する。
全身に、軽くて頑丈そうな防具が装着されて、四肢末端にはグローブやスニーカー型の軽量シューズ、いつも通りの魔道着姿へと変身完了だ。
「魔法使い治奈!」
「魔法使いアサキ!」
「魔法使い正香!」
「魔法使いナルハ!」
次々名乗りを上げていく彼女らの様子を、じっと見ている慶賀応芽であったが、やがてニヤリ唇を釣り上げると、
「ははあ、それが自分らの魔道着姿ってわけか。ま、サマになっとらんこともないな。……ほな、あたしも変身や!」
大きな声を出しながら、両手を高く振り上げた。
頭上で交差させた両手を、ゆっくり下ろし、胸の前でリストフォン側面にあるスイッチを押した。
まばゆい光が、彼女の全身を覆った。
その光にほろほろ流されるように、着ていた服が溶けて無くなったかと思うと、全身、首から下が黒い布地に覆われていた。
黒い布地の、腕や太ももの外側、脇腹、胸、と赤いラインがすうっと走る。
頭上に金属の塊がぐるぐる回っており、それがバラけて防具状になると、なおぐるぐる回転しながら胸、腰、肩、腕、足へと装着されていく。
治奈たちが胸と脛と前腕だけを守る機動性重視の軽量防具なのに比べて、こちらは腰や二の腕まで覆う重装備。西洋騎士の甲冑を連想させるデザインである。
と、妙に太い槍が宙から落ちてきて、慶賀応芽は分かっているのかまるで視線を動かすことなく手を伸ばし、柄を掴むと、ぶんぶんと振って、両手に構えた。
騎槍、馬上の騎士が決闘で使う特殊な槍である。
「魔法使い応芽!」
槍を背中に回して、応芽はビシッとポーズを決めた。
「なあに関西人の
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