第六章 六番目の魔法使い
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に、ヴァイスタが出現したのである。
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「このケリは後でつけっから、忘れんなよ!」
昭刃和美は、不敵な笑みを浮かべながら、慶賀応芽の眼前へびしっと指を突き付けた。
「あーめんどくさ」
慶賀応芽は、気怠そうに頭を掻いた。
「二人とも、そがいな争いしとる場合じゃないじゃろ」
明木治奈は二人を冷ややかな目で見ながら、リストフォンを通信モードに切り替えて口元へと近付けた。
「……はい。明木です。はい。……はい、その慶賀さんも一緒におりますよ。なんでうちらが彼女のこと全然知らされとらんのか、後でたーっぷりと納得いく答えを聞かせて貰いますけえね。……はい、これから一緒に向かうつもりでいます。ほいじゃ、後で報告します」
「校長?」
成葉の問いに、治奈は頷いた。
「慶賀さんのこと、笑ってごまかそうとしておったわ」
新戦力を内緒にしていたことを。
「やっぱりさあ、ゴリラゴリラしつこくいい過ぎて嫌われてるんだよお」
「それか、もしかしたらお菓子の件じゃないのお?」
アサキが口を挟んだ。
「え、え、アサにゃん、なにそれ?」
「あのね、わたしとカズミちゃんで校長室に行った時にね、机に置いてあった高級そうな和菓子をカズミちゃんが勝手に食べちゃったんだ」
「えーーっ!」
ヴァイスタ絡み組織絡みの話ではなく、ドッヂボールで校長室のガラスを割ってしまい謝りに行った時のことだ。
「誰もいないと思ってたら、直後に校長が入ってきてね、お菓子がないことに気付いて、『知らない?』って聞くんだけど、カズミちゃんってば澄ました顔で『知らない』って首を横に振って。『ほんとに知らない?』『知りません。窓ガラスの件で謝罪にきて、そんなことする人がいますかあ?』とかなんとか、口の周りに思い切りチョコが付いているくせに、気迫でごまかし通してしまったんだよ」
「そういやありましたかなあ、そんなこと」
カズミは、はははと笑いながらぼりぼり頭を掻いた。
「ぎゃいーーーーん、絶対それだよお! カズにゃんのせいで、ナルハたちみんな校長から嫌われたあ!」
「でも、そこまでたいそうな菓子でもなかったぜ」
などと軽口というかなんというかを叩きながらも、彼女たちは、カーテンを開くかのごとく空気を掻き分け開いて、異空へと入っていく。
異空。
同じ場所の、裏の空間である。
色調が全て反転して、さらに見る物ことごとくがぐにゃり歪んでいる、瘴気に満ちた世界だ。
カズミ、成葉、正香、アサキ、治奈、と順番に、学校屋上の異空側へと、足を
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