第六章 六番目の魔法使い
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らなあ。自分ら下民どもとは格が違うんや!」
慶賀応芽は腕を組んだまま、ふふんと鼻を鳴らした。
「エリート様ってことかよ。なんかムカつくな、変な前髪のくせしやがって、このオデコ女。……でも、どうせその代わりに勉強が出来ねえんだろ?」
「そ、そんな話はっ、今は関係ないやろ……」
慶賀応芽の声が、だんだん元気なくなって、語尾が完全に風に消えた。
「ごまかしたよね、カズにゃん」
「おう、ごまかしたな」
成葉とカズミが、お互いの耳に口を近付けてぼそぼそこそこそでもはっきり聞こえるように。
「しゃあないやろ! ずうっと訓練訓練で生きてきたんや! なんやもう、どいつもこいつも腹立つわあ! 特にこの物騒な顔をした女があ」
慶賀応芽は、びしっとカズミの顔を指さした。
「ぶ、ぶ、物騒な顔の女だあ?」
ぴくぴくっ、とカズミの頬が痙攣した。
「カズにゃん、当たってる、当たってるから怒らないでえ!」
成葉が横から、抱き着きなだめる。
「ああ、当たってんなら仕方ねえか。……はあ?」
ギロリと睨み付けるカズミ、成葉は離れながら、笑ってごまかし視線を受け流した。
「ま、いくらエリートのあたしとはいえ、ヴァイスタの集団に対して一人ではよう戦えへんからな、とりあえずのところ、よろしゅう頼むで、みんな」
「こちらこそよろじぐう」
アサキが、なんだかしまりのない顔でえへへえと笑った。
首絞めから解放されたばかりなので、まだ顔が青い。
「足手まといにならへんよう、せいぜい頑張ることや」
「とかなんとかいわれてっぞお、アサキちゃんよお」
カズミはそういいながら、アサキの肩をぽんぽん叩いて慰めてやる。
「お前ら全員にゆっとるんや」
アホか。とでもいいたげに、慶賀応芽は鼻で笑う。
「はあ? なんだあ?」
カズミは、ぎりり歯を軋らせると、ニヤついている転校生の胸ぐらを掴もうと手を伸ばした。
「触んな!」
バシリ、と荒く手を払われてしまう。
「上等だよ、てめえ!」
激しく足を踏み鳴らすと、カズミは、頬をひきつらせながらもニヤリ笑みを浮かべた。
「な、仲良くしようよお」
すっかりおろおろしてしまっているアサキ。
そんな言葉など焼石に水の、一触即発といって過言でない雰囲気が出来上がってしまっていたが、
だがしかし、その雰囲気は実にあっさりと収束することになる。
リストフォンの振動によって。
ブーーーーーー
ブーーーーーー
全員が左腕につけているリストフォンが一斉に振動、共鳴して空気が気味悪く震える中、それぞれの画面に、地図が表示された。
この近く
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