第六章 六番目の魔法使い
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前とかで吐きまくることだと本気で思ってたんだってえ」
ぶーーーーーっ、
と治奈が吹いた。
わははは、と笑い出したはずみにお尻が滑って机の重心を崩してしまい、机を倒しつ自身も床へと落ちた。
尻と頭を床に強打した激痛に、呻き、顔を歪ませるが、
「い、痛いっ! おかしいっ!」
苦痛に歪んだ顔で身体を痙攣させながら、まだ笑っている。
「おいっ、大丈夫か治奈あ? パンツ見えてるぞお。ほらあアサキ、お前の究極バカのせいで治奈がケツの骨を砕いたぞお」
などと責めつつも、笑いを必死にこらえているようでもあるカズミの顔。
スカートが完全にめくれて下着丸出しのまま、激痛に顔を歪めている、という治奈の姿が、あまりに痛々しくてみっともなくて、笑うに笑えないというところであろうか。
「わたしのせいじゃないよお。それに、一泊ゲーってみんな思わなかったあ?」
笑いが収まると、今度は小馬鹿にされていることにカチンときたかアサキ、ちょっと口を尖らせて反論をする。
「思わねえよ! それじゃあたしも一発芸を披露、アサキチくんのスカートをめくりまーす」
いうが早いか腰を屈めて、アサキのスカートの裾を掴んだ。
「いやそれ芸じゃな、ぎゃーーーーーっ! カズミちゃんのエロオヤジ! 最低!」
両手でスカートを押さえ付けてぎりぎりのところで死守すると、素早くカズミの腕を掴んだ。
カズミが掴み返そうとして、二人はがっぷり四つの体制になった。
「くそ、力つけたなアサキ」
ニヤリと笑みを浮かべるカズミ。
「横暴な変人に心身鍛えられましたからあ」
力比べでちょっと劣勢ながらも、アサキは強気な笑みを返した。
「誰のことかなあ、変人ってえ」
「自分で自分は見えませんからねえ」
「横暴は認めるがお前ほど変人では、ない」
ぐぐーっとカズミの腕により力が入る。
「そっくりそのまま、返す」
負けじと踏ん張るアサキ。
ぎりぎり、
ぎりぎりぎり、
あとちょっとでどちらかの腕が折れていたかも知れない(そうなったら間違いなくアサキだろうが)、と、そんな時であった。
ガラリ、
教壇側のドアが勢いよく開いたのは。
「はいはい、席に着くようにな! 静かにする静かに!」
ぱんぱん手を叩きながら、フロックコートに似た他校の制服を着た、ショートカットの女子生徒が入って来た。
少し長目の前髪を横に流しておでこを出しているのが特徴的といえば特徴的な、とても可愛らしい顔立ちの女子生徒だ。
ここ天王台第三中学とは異なる女子制服が、いきなり入ってきて、そんなことやっているものだから、いわれずともみな唖然呆然で静かになってしまっていた
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