折れた心と盗まれた心
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り許せない。でも、あなたとは一緒にいたいし……あなたともっと話がしたいわ。キュービのこと、とっても大切に思ってるんだよね?」
ラティアスがキュービに向ける気持ちは、とても信頼がある。その上で今だけはわたしの味方をしてくれる……そうだよね。
それに、わたしも初めて会ったキュービの笑顔が、全部嘘じゃないはず。
「だから教えて。キュービは何を考えてるのか。教えてくれたら……もう一度、キュービとも話してみてもいいって思えるかもしれないから」
『あの人の考えは正しい。優しくて強くて、怖がりになった人。最初はね。キュービにお願いされたの。みんなのために怪盗をやってる優しい女の子が来るから、お仕事が上手くいくように、怪我をしないように助けてあげて、って。今までずっとリゾート全体を護ってきたけど誰か一人を護ってなんて……久しぶりに言われたから。どんな子なのか気になった』
「だから、人間のフリをして私に会いに来たのね。じゃあ、あの壊れた街の映像もあなたが?」
壊れ果てたリゾートの光景。サフィールはわたしを警戒して護神が見せたんじゃないかって言ってた。
その質問に、ラティアスは目を伏せてしゅんとする。……いたずらのつもりだったのかな。
『ごめんなさい。貴女を見ていたら、思い出してしまったの。昔、キュービがこの世界にやってくる前。彼女が記憶を失う前のことを』
「えっ……あれは、キュービさんの昔の記憶?」
全然違った。このリゾートだって昔はこんなに華やかじゃないとは聞いていたけど、あのとき見た映像はもはや廃墟だった。そもそも別世界の光景だとしたら納得はできる。
『あなたのことも、サフィールのことも。あの人は笑顔の裏でずっと苦しんでる。悲しい気持ちを、胸の奥にしまい込んで見せないように。だけど優しくて、少し昔のあの人に似てる貴女なら……あの人の心も盗めるかもしれない』
「ラティアスは、昔のキュービに戻って欲しい?」
怖がりになった人。苦しんでる人。ラティアスはキュービが大好きだけど、今のキュービには複雑な気持ちを抱えているように聞こえる。
『ううん。今のあの人は、大人になって一生懸命自分の理想のために頑張ってる。でも……寂しいの』
「どうして?」
『今のあの人にとって、私はリゾートを安全に運営させるためのシンボル。ピンチになった怪盗に宝を盗ませるためのデウスエクスマキナ。友達とは、もう思ってくれてないの。昔はどんなに辛くても一緒に戦ったのに』
テレパシーによる想いは、とても苦しそうだった。自分の友達が記憶を失って、自分のことを忘れてしまったら、わたしも悲しいと思う。
「……ルビアからキュービのことは少し聞いたけど、もっと詳しく知りたい。あなたとキュービは、昔どうしてたのか。サフィールとは一体どうし
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