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戦闘携帯のラストリゾート
折れた心と盗まれた心
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わりに現れたのは、紅白の竜。普通のドラゴンタイプよりは小さくて表情には子供のようなあどけなさがある。そして、脳内に響くテレパシーは、間違いなく護神自身のものだとわかった。
 
『キュービからは直接お話はしないでって言われてたけど……私は、今は貴女の味方になりたい』
「……今までも私の見えないところで助けてくれたんだよね?」
『それはキュービに言われてたから。貴女の気持ちを無視して、勝手に助けてただけ。貴女がどんな想いで怪盗のお仕事をしてるのか。私にはずっと聞こえていたのに』
「わたしの考えてることも聞こえてたの?」
『うん……ごめんなさい』

 ちょっと恥ずかしい。予選で負けて泣いてたときの気持ちも聞かれたりしたと思うと、体の芯が熱くなるような感じがした。
 
【ああ。彼女が話す気になったんですね。護神、という呼称を聞くに予想はしていましたが。ラティアスでしたか】
「ラティアス、それがあなたの本当の名前なのね」

 護神、改めラティアスもうなずいて話し始める。

『貴女はさっき自分が何をしたって意味がない。キュービの思い通りになるだけだって言ったけど……それは違う』
「……どうして?」
『どんな時でも、貴女は真剣に怪盗であろうとした。ポケモン達の力を借りて、仲間達に感謝をして。後悔しても、悲しくても、苦しいときに助けに来てくれる誰かがいても。考えて自分で動くのをやめなかった。涙が出るくらい自分を傷つけてでも。そんな貴女だから……私の心は盗まれたの。キュービの言いつけよりも、貴女の味方になりたいって思った。貴女はもう、キュービの思惑以上に立派に怪盗をやり遂げてる』

 テレパシーだからなのか、ラティアスの言葉と感情は嘘じゃないことがわかる。
 自分を見てくれてた人の心が動かせたのなら……怪盗として振る舞ってきた意味はあった。そうラティアスは言ってくれてるんだ。

『でもね、騙していたのは事実。だから貴女が怪盗をやめて帰っちゃうなら……私には止められない。とっても寂しいけど、貴女が怒るのは当たり前だもの』

 ……そんな風に考えてくれてたなんて。
 気がつけばわたしは、ラティアスに近づいてその体を抱きしめていた。

「ううん、帰らない。勝手なこと言ってごめん。キュービが騙してて、スズが何も知らないわたしを見て面白がる人でなしでも、わたしを助けてくれたあなたに一番感謝しなきゃいけなかったのに……だから、泣かないで」
【ラティアスの言葉は聞こえないので流れがわかりませんが今さらっと罵られた気がしました】
「事実でしょ! スズにはまだ怒ってるからね」
『いいの?』
「……怪盗はやりたくない。キュービが騙してたこととか、チュニンがサフィールに酷いことをしたこととか、ルビアがわたしにしようとしたこととか、やっぱ
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