折れた心と盗まれた心
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てきた。力を借りてきた。ここで終わりにするというのなら、ポケモンの力を使う人としての役目を果たしてあげてください。スズの言いたいこと、わかりますよね?】
「……あ」
ボールの中のツンデツンデがたくさんの目でわたしを見ている。ブロックのように無機質に見えるけど、心配してくれているのがわかる。
ツンデツンデだけじゃない。
わたしの腰につけたボールには、ずっとわたしを支えてくれたツンデツンデや。もう一度力を貸してくれたシルヴァディ、リゾートに来てからわたしのために戦ってくれたポケモン達がいる。
「そう、だね。ツンデツンデ、スターミー、グソクムシャ、ハッサム、ルカリオ、シルヴァディ。……離ればなれにさせて、ごめんね」
眠らされたわたしと違う場所に置かれて、わたしも心細かったけのと同じくらい、ポケモン達だって不安だったはず。表情はわかりにくい子達だけど、それでもこんな状況になって、元気がないことはわかる。
それに、わたしが今一番お礼を言わなきゃいけない相手、怒っているわたしに怯えたように顔色を伺いながら、それでも逃げずに付いてきてくれた護神がいる。
「あのね、助けてくれて……ありがとう。関節を無理矢理外すのって、やっぱりすごく痛いから。治してくれて助かった」
わたしの言葉に護神の子はびっくりしている。ついさっきまで怒っていたんだから当たり前だ。
正直、ルビアのことはすごく腹が立つ。サフィールに暴力を振るったチュニンにも。もしルビアの言うことが本当ならキュービにも。
だけどこの子の優しさは嘘じゃないはず。わたしを助けるのがキュービの命令だとしても、あのときわたしの痛みを治して、心配してくれたのは本心だと思う。
「もし本当にキュービに約束を守る気がなかったとしても、あなたのおかげで出られた……ううん、あなたが心配してくれたおかげで一生懸命脱出しようって思えたの。だから、ありがとう」
護神のオッドアイが、わたしを真剣な目で見つめる。幼い頃のキュービさんみたいな姿は幻影だってわかっているけど、その姿に手を差し伸べる。
「でもね、気になることがあるの。キュービがわたしに宝を盗ませたかったなら、あなたは護神としてわたしの前に出てきちゃいけなかったはず。ここに戻るまでに、キュービのところに帰ったってよかったはず。……どうして、ここまでついてきてくれたの?」
言葉を話せない護神には答えられない問いかもしれない。でも聞かずにはいられなかった。
護神の子は、やはり困った顔をしてしまう。……やっぱり、まずかったかな。
「ごめんね。言えないなら、それでもいいの」
『ううん、話させて欲しいな』
突然、イヤホンから聞こえるスズの声よりも脳の中に響く声がして、女の子の姿が消え去った。その代
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