その44
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で、調子に乗ってイタチさんに拒絶されたつけは大きかった。
困らせてしまうと分かっていても、涙を堪える事はかなり厳しかった。
じわじわと涙が込み上げて、決壊しそうになる。
「いやっ、無理じゃない!そうではなくて…」
「呼んでやれよ。イタチ『お兄ちゃん』。その子も望んでいる」
「シスイさん…」
必死に涙を堪えていると、イタチさんがうちはシスイとのやり取りの末に、意を決するように息を整えて、恐る恐る私の名前を呼んでくれた。
「ナル、ト」
はっとして顔をあげると、戸惑いと照れくささに顔を赤らめたイタチさんが確認してきてくれました。
「オレは、きっと、君の為に何もしてやることは出来ない。それでも、構わないだろうか?」
イタチさんの迷いと悩みと躊躇いが混じった問いかけに、ふんわりと笑みが零れてしまった。
イタチさんの私を気遣ってくれる優しい心が、私を笑顔にしてくれていた。
イタチさんはもう十分、私の為になる事をしてくれているのに。
「イタチさんは、もう、ちゃんと僕の為になる事、してくれてますよ。サスケ君と一緒に僕と遊んでくれるし、時々二人っきりでこうしてサスケ君の事を話す僕のお話聞いてくれるんです!ミコトさんと同じ!」
にこ、とイタチさんに笑いかけた瞬間だった。
「シスイさん」
再びイタチさんがうちはシスイを呼んだ。
「どうした、イタチ」
おもしろそうなうちはシスイがイタチさんに応える。
その途端だった。
「オレは、妹の可愛さも知ることが出来るようです」
じっと私を見つめたまま、イタチさんがそんな事を言ってくれた。
驚いて、びっくりして、同じようにイタチさんを見つめ返す。
うちはシスイのおもしろそうな同意の声が聞こえてきた。
「そのようだな」
私はうちは一族じゃないし、本当にイタチさんの妹でもないし、妹になれることもないけれど、そう言ってくれたイタチさんと、それを肯定してくれたうちはシスイの気持ちが嬉しかった。
そんなやりとりがとても嬉しくて、だから私は、二人の前で満面の笑みを浮かべてしまった。
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