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レーヴァティン
第百三十九話 西への出航その十
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「制湖権を握ったらな」
「あの街に兵糧や武具をどんどん集められますね」
「船を使って地中湖全体のな」
「物資を集められるからですね」
「しかも川の入り口でもある」
 連合王国の大きな川のというのだ。
「それならな」
「街から川を遡ってですか」
「攻められるしな」
「尚更いいのですね」
「ああ、だからな」 
 是非にと言うのだった。
「今回はな」
「セビーリャを足掛かりにしますか」
「そうしていくな」
「軍議の通りに」
「していくな」
 こうしたことを話してだった、そのうえでだった。
 久志は仲間達と共に船に乗り込みそうしてだった、二十万の大軍を大船団に乗せて連合王国に向かった。
 だが出港してすぐにだった。
 船団の前にクラーケンが出て来た、それも何体も。その彼等を見てだった。久志は早速レーヴァティンを見た。
「戦の前に幸先いいな」
「最初にか」
「ああ、モンスターを倒してな」
 そしてとだ、同じガレオン船水軍の総旗艦ヴィクトリーに乗る芳直に答えた。
「景気付けにするか」
「そうするか」
「ちょっと行って来るか」
「クラーケンは強いがな」
「この大船団で戦ってもな」
「かなりの打撃を受けるが」
「俺達だとだと」 
 久志はレーヴァティンの柄に手を当てつつ芳直に応えた。
「戦える、しかもな」
「倒せるからか」
「クラーケンはこれまで何度も戦ってきただろ」
「ああ、俺っちもな」
「俺達なら確実に勝てる」
「それも確実にな」
「だからだよ、ここは軍勢を向けて下手にダメージを与えるより」
 それよりもというのだ。
「俺達が相手をしてな」
「そうしてだな」
「軍勢に傷を付けさせないで」
 そしてというのだ。
「景気付けにするぜ」
「強いモンスターに勝ってだな」
「それを軍勢に見せるんだよ」
「士気も上がるな」
「悪いことないだろ、しかもクラーケンは強いだけにな」
 湖のモンスターの中ではかなり高位のモンスターだ、ドラゴン程ではないが並以上の冒険者では何人がかりでも相手にならない位の存在だ。
「貰える金も多い」
「金のこともあるか」
「言っただろ、戦で金を使ってな」
 それでというのだ。
「勢力としての予算にはまだ余裕があってもな」
「金は少しでもあるといいな」
「だからな」
 それ故にというのだ。
「連中倒して」
「多くの金も手に入れるか」
「俺達が言って悪いことはないさ」
 それこそ一つもという言葉だった。
「じゃあいいな」
「うむ、行って来るか」
「お前はそのまま船団の采配を頼むな」
 久志は芳直に顔を向けて微笑んで頼んだ。
「少しでもやっぱりな」
「船団の総指揮を執ってる奴がいないとな」
「よくないからな」
「そうだな、では
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