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靴墨
第六章
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今や??、町と月樣との出會ひに行く。外の闇に出て足を土瀝に踏みだして靴墨にもぐる。其れは我を吸收して、我が思想をもつと暗くしたり、欲念をもつと罪深くしたりする。一?暗Kに。でも?層では靴墨が一樣にKい。同じくKい月はニヤニヤとして天上鴉片を吸ひつゝ、我になにかを囁くやう。皆は我になにかを囁く。それをハツキリ知つてる。それは拐~分裂症でなく、我自らの聲は周りにある眼に見えぬ壁の中に反響を探し出す事である。又の孤獨の夜。貴女を會へることを願ふ。外に出る目的は壹つだけで、ナイフを持つ目的は壹つだけだ。貴女の家へ行く。其れは何處にあるつて知つてるよ。ある頃、無限のアクアリウムで流れるステュクスの水上を行く舩の中での蝸牛なる我は胸をこがしてゐたあの?、貴女を家まで送つたことを、貴女は覺えてゐるのを希望する。あのとき、月樣は我等のために鮮やかに光つてゐたことを覺えてゐるのを希望する。我は純粹でつゝみなく愛が出來たり、あんな必要がなく影になつて貴女を付きまとはず鄰りに行つたり、我等は月樣を見ながら心の中で我はいま貴女の鄰りに居る事と貴女は我の鄰りに居る事を其れに感謝したりしてゐた快い頃も覺えてゐるのを希望する。美しさを見る事を、死に感謝する必要がなかつた。他人の心を引き拔く?望がなかつた。自分の心を貴女に與へたから。でも不治の火傷を殘させ、いま其れを愛藏して詫びてゐるの。蟲のやうに這ふのでも、無心に動く筋に押し?されるにも關はらず欲しいものがために戰ふのでも、幸せだつた。貴女は生きてゐるを見てゐて樂かつた。貴女は病氣になつたときに我は夜中に座禪したり我が暗き女~逹に貴女は元氣になるやうに祈つたりしてゐた。ある夜、貴女は寢てゐたうち我は片隅で座つてゐて一瞬閧ナも貴女の夢を入らうとしたとき幸せだつた。貴女は生けるし元氣であるのを想像して幸せだつた。あれは、我はまだ靴墨に沈まなかつた頃だつた。あの頃に、そんなに歸りたい。いつか生ける愛の中に幸せだつたやうに今もそんなことができると自分を?得してみてゐるほど歸りたいが、結局我はなつた者を認めるよりほかはない。貴女から逃げられぬ。自分から逃げるわけあるのか!誠に、これは愛の値段であり、この十字架を得々として背負ふ。
死と手を組んで夜閧フ~?を?きながら心の中で貴女と一緒にもこんなふうに散?できるやうに祈る。
そして死は我に曰く「また彼女と一獅ノ居るよ。また幸せになるよ。??ナイフを持つ理由をよく覺えなければならないの。その意思を行へ!すると、また彼女と一獅ノ居る。約束するは。永遠に一獅ノ居る」と。
貴女の家へ行く。貴女の門口を覺えてゐるが、窗を知らぬ。門口の前に影で座つてゐて我は、扉が開いて貴女は出るを望む。無色の夜に建物の閧さまよひつゝ角の曲がつて知る輪郭を見るのを期待する。目を閇じても自分の家よる貴女の家まで、目を開け
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