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靴墨
第五章
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觸ツタ事ガ有リ、其レハ法スデアルト言ヘル情態ニ近ク居タノデアリマスカラ。
我ガgeliebte frau ニ”

オシリスは待つてゐた。貴女が自分の目的と運命を忘れた。我はそれを言はず、貴女の友はイシュタルであれば貴女はエレシュキガルである事を、貴女は理解が出來無いだらう?前者が無ければ全ては全然違つたかもしれないから彼女を呪つてゐたけれども、その均衡、その純なる友情の典範を感心してゐた。しかし我が感心は、羨みをすぎなかつた。
貴女はその妙(タヘ)なる屍姦行爲をする覺悟が無かつたかもしれぬ。でもさうだつたら全ては無駄であつただらう。オシリスの苦しみも、イシスの樂しみも。我ネルガルの能動も、貴女エレシュキガルの受動も。貴女の美學的意識はまだ其れに付いての思惑を入れなかつたから、胸が詰まる。貴女は的を忘れ、行爲中で自失して、序幕が始まる所にて、もう喜び勇む。離れると、永續に我自身に我が手で引き戻されるが、また了解が無く更に自失する。でもそれは駄目だよ。~々しい法は破れる可きが無い。?(ダレツト)が無く、コクマーはビナーと、だう一獅ノなるのか?その貴女がもう長い閧ノ演じる可きだつた役割を、我は受かねばならないのか?貴女は死ねば、イシスが無限の再生周期性の中でオシリスを弔するが如く我は貴女を弔する。シヴァを喰つてゐて得意がるカーリーは彼を愛するが如く我は貴女を愛する。以前の通り貴女を見るのは、もう出來無い。?く時に、目の前には貴女が居るけど、貴女はもう違つてをり、貴女の面影はもつと暗くて遙かになつたやうだが、前のやうに脆いといふわけ無い。もう、貴女は暖かくて生けるのやうでなく、死んでゐるし冷たいのであるやうに貴女を見てゐる。その面影は貴女をもつと飾る氣がして、それは我が拜物になる。腕輪の如く、半ズボンの如く、靴の如く、貴女自身の如く。でも、貴女の魂の如くで無く。貴女と貴女の體を見てゐて喜ぶ。貴女の感情表現と微笑みも。たゞ、喜ぶのだ。幸せだ。蟲は、自分が蟲であると確認するが、自分の志に從ふよりほかはなし。彼は誰であるにも關はらず、彼の志はさうであればさうなる可し。でも貴女の魂の輪郭を見る時、喜ば無い。その魂は、胸での永遠の詰まりだ。潰瘍、腫れだ。其の本質を憎むけど、我に給つた事を其れに感謝する。ま、いゝは、これは我が志なのだ。是れに獻身せねば是れを完全に悟らぬ。それで、獻身した。すると、その恐ろしい欲念は我を染み込んで、我が手は刄で貴女の皮膚をユツクリと撫で、刄の分子は貴女の頬の可愛くて細い靜脈を見られ其れを觸ると跡が殘れるやうな氣がするほど纎(セン)細(サイ)なる自然屍衣の分子を割いてゐるのを想像しつゝ、我は自らの殘酷なる思惑の中で喜んでゐた。
だうやつて貴女の魅力はこんな情態まで至らせたのか?この思想は、狂氣で不可能さうに見えれば見えるほど現實的で道理の
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