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靴墨
第二章
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。貴方ガ欲シイモノ全テヲ、與ヘマス。
我等ハ、バスストツプニ居マス。貴女ハ我ガ膝ニ頭ヲ乘セマス。
我ガGeliebte frauニ“

今や呪はれてる貴女の誕生日に、進物として純なる銀の最質的な腕輪。小さな葉書でも何かを書いたらしい。
「ありがたう」つて…。
もちろん。
その腕輪、誰よりも貴方に似合つただらう。あゝ、如何なる物は、誰よりも貴女に似合ふ。いまその指輪は我が拜物に成つた。貴女の躰に接した物全ては、我が拜物に成る。
着けてゐたのは三日閧ョらゐ。其後はやめた。何故だと質問することが恐れる。多分、答へを聞くのが怖い。答へが無ければ全ては唯の憶測であるから。それより知りたいことは、何故あの三日閧ノ着けてゐたのか。確かに、蟲の所爲だ。自身の生活も、皆の死亡も、全ては蟲だけの所爲。蟲は自分の道を噛み切る。他のモノは彼を見る。或るモノは嫌がつて見てゐるが、或る者は憎しんで見てゐる。
肉體にもつと深く、もつと深く。
噛み切るのはもつと早く、もつと早く。
蟲は氣にしない筈、恥を感じない筈だ。もしあんたは蟲であれば、自身と自分の行動を恥を感じるわけ無いだらう?これはたゞ、自然だ。たゞ、全ては蟲の所爲だ。
彼女は我を嫌がるから、あの腕輪は彼女を我と繋がれるのを怖がつたかもしれぬ。だうせ我が婬慾はそれを氣付かなかつたなり、氣付きたくなかつたなり。でも彼女の微笑で慰めを探し出してゐた。或いは、手婬で。でもやつぱり微笑だらう。生けるし、うらゝかでニヤニヤのやうで、片方に壹つのエクボのある微笑。他方にエクボが無かつた。有つたらニヤニヤに似てなかつた。突然、我は自分自身に憎らしくなつた。
蟲は自分自身に憎らしくなる譯が無い。なぜならば蟲であるから。噛み切り乍ら肉體を樂しむ筈だ。それなら我は蟲ではない。でもそれは氣持ちを、全然やわらげない。
憂鬱に含ませられた大學の壁は我に何かを囁く。此處で、この囁きだけが氣に入る。他の聲が、たまらない。皆、けがらわしい僞譱者たちよ!いつも彼等だけが欲しいやうにさせたい。嫌ひ!嫌ひよ、彼等が!外面は高尚やうだが内面が汚い!その世閨\―我は屍蟲だと思つたモノ逹の世閨A我を或いは嫌がつて見てゐた或いは憎しんで見てゐたモノ逹の――その世閧ニ?調を合はしてみた時、何を取得したの?我をもつと憎め!あんた逹を憎む!我を、もつと憎め!
態と服を洗濯することも髮を洗ふのもやめた。幸せになつた。憎まれた頃、本當に幸せだつた。好まれた頃より幸せだつた。彼等に取得した物が無いが、彼等の所爲で失つた物が澤山。でも或る日、彼女は正座してゐた時、我は後ろに彼女の足元にになつてをり、眞實が我に現れた。それは、あなたはだれかを戀すれば、その者の身體分泌すべてを好むと。汗を敬慕し、汚い身體の匂ひも敬慕する。汚い髮を接吻するも良い。その者の大便を食べ
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