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靴墨
第一章
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からず、彼女と同時にイくかだうか分からない。彼女にはいつでも何かが足らない。生きてゐる女はいつももつと欲しい。生きてゐる女は全てを奪ひたがる。彼女はあなたの魂とあなたの躰を喰ひたがるが、あなたは何故か自分自身を彼女にけんじるの。
死んでゐる女は、まつたくもつて違ふ。死んでゐる女は完璧な戀人だ。彼女と一獅ノ居て、あなたは過程を支配する。いつイくか、あなただけ次第だ。いくら早くイくか、彼女はかまはない。彼女には、過程の前と過程の後は同じだ。死んでゐる女は痛がらない、あなたはまづい戀人だと言はない。亦、性行爲を囘避するための言い拔けを考へ出さない。彼女はあたなに斷らず、いつでも、いかがでもやるよ。
彼女の首の切り傷を氣付かない。いま我には、彼女は?人者の被害者でなくて、我が女である。外には死んでゐるが、中から生き返り始めるのだ。もしその後、彼女が運び去られなければ、明日も彼女に戻る。
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