「はは、壊れちゃった」
前書き [2]次話
近々整理しようとあれこれ詰め込んでいたのが災いしたようだ。
「あちゃー」
派手な音と共にフローリングへ散らばった小物達。盛大にぶちまけてしまい、とうとう落胆の溜息が漏れた。仕方ないか、いい機会だしちゃんと整頓してしまおう。
お気に入り、よく使うもの、とっておくもの……要らないもの。始めてしまえば以外にも作業は捗った。どれも破損がなく、何かしらの思い出が残っているから楽しいのだ。さあ続きを、と床へ向き直った矢先。唯一つ、無残な形のものが目に入った。震える指先を伸ばし、そっと触れれば、忽ち視界が滲んで膝頭をぽつぽつと濡らしていった。
――クーとお揃い! 一つでいいから!
強請って粘ってやっとOKを貰った記憶が蘇る。呆れつつも薄らと笑みを象った口元、無愛想でも確かに在った情。ああ、思い出したくないから仕舞っていたんだった。
――失くすなよ
うん、ずっとずっと大切にしてるの。だけど貴方はもう、隣に居てくれなくて。別れてから時が経過しているのに未練がましいものだ。繰り返す悲しみも恋心も全部ぜんぶ、捨ててしまえたなら。
前書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ