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「はは、壊れちゃった」

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 近々整理しようとあれこれ詰め込んでいたのが災いしたようだ。

「あちゃー」

 派手な音と共にフローリングへ散らばった小物達。盛大にぶちまけてしまい、とうとう落胆の溜息が漏れた。仕方ないか、いい機会だしちゃんと整頓してしまおう。

 お気に入り、よく使うもの、とっておくもの……要らないもの。始めてしまえば以外にも作業は捗った。どれも破損がなく、何かしらの思い出が残っているから楽しいのだ。さあ続きを、と床へ向き直った矢先。唯一つ、無残な形のものが目に入った。震える指先を伸ばし、そっと触れれば、忽ち視界が滲んで膝頭をぽつぽつと濡らしていった。

――クーとお揃い! 一つでいいから!

 強請って粘ってやっとOKを貰った記憶が蘇る。呆れつつも薄らと笑みを象った口元、無愛想でも確かに在った情。ああ、思い出したくないから仕舞っていたんだった。

――失くすなよ

 うん、ずっとずっと大切にしてるの。だけど貴方はもう、隣に居てくれなくて。別れてから時が経過しているのに未練がましいものだ。繰り返す悲しみも恋心も全部ぜんぶ、捨ててしまえたなら。




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