提督式ブートキャンプ・改〜その1〜
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ラだろう。人からすれば『年相応に丸くなった』と言われて終わりだろう。だが、俺はそんなのは望んじゃいない。未だ現役、かつての鋭さを取り戻す為に。俺自身の錆び落としも兼ねて、今回の研修に参加したのだ。
「さぁ……来な」
右手を動かし、かかってこいとアピールする。途端に動いたのは背後に立っていたデ・ロイテル。
「後ろからだけど……ずっこいとか言わないでよねっ!」
「当然だ、実戦なら不意打ち上等。寧ろやらなけりゃ怒られるレベルだ」
……が、不意打ちなのに声掛けちゃダメだろ。そう言って難なく躱して、その背中をトンと押してやる。バランスを崩した彼女は、目の前に居た平戸を巻き込んでずっこけた。
それを見てか、手を出さずに構えていた艦娘達に動揺と緊張が走る。当然だろう、人の姿をしているとはいえ、自分達は艦娘。人間ではない。艤装を付けていなくとも、人ならざる膂力を発揮する事が可能なハズなのだ。だが、そんな艦娘を軽々とあしらってみせる目の前のこの男は何者……いや、何なのだ?と。
「……来ないのか?」
瞬間、男の纏う空気が変わる。
「なら、こっちから行くぞ?」
獰猛な笑みを浮かべた男が、地面を蹴って目の前の艦娘に飛び掛かった。
「……終わり、ですね」
状況を見守っていた神通が、ポツリと呟いた。
「全員倒れた訳ではないから、まだ逆転の余地はあるんじゃないかい?」
その隣に立っていた響が、眦を上げて疑問を呈する。響とて、提督に直に鍛えられた艦娘の1人だ。目の前で暴れる化け物の異常性は誰よりも知っていると言っていい。だが、それでも複数の艦娘で連携して戦えるならば勝てない訳ではないと思っている……勝率は極々僅かながらでも、だ。しかし神通は頭を振り、
「連携が取れていませんし、提督も連携をさせないように個別に叩いています。何より、全員提督の初動を見て腰が引けていますから……あれでは勝てる訳がありません」
とぶった斬った。言っておいて何だが、それもそうかと納得してしまう響。そもそも新任の艦娘に連携を取れ、というのがどだい無理な話である。提督は『自身の錆び落とし』と言っていたが、先に新入りの鼻っ柱を圧し折るどころかバキバキに粉砕するのは提督のいつもの遣り口なのだ。『艦娘は強くて特別』という少なからず抱えている意識を捨てさせ、自分達の足らない物を自覚させる。自分達も通ってきた道なだけに、その効果の程は身に染みて解っているだけに、神通達は手出しも口出しもしない。やがて最後まで粘っていたアトランタも地面に叩き付けられ、模擬戦は終了となった。
「ダメだなぁ……全くなってねぇよテメェ等」
泥だらけ、砂埃だらけの艦娘達を見て提督が溜め息を吐く。
「折角
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