第64話
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多いようですが……確実に、後戻りできないほどのエレボニア全てが”闘争”に染まりつつある。―――ですからわたくしは”選択”を突き付けることにしました。このままエレボニアという暗黒に呑み込まれ、”呪いの一部として黄昏に染まるか”――――――それとも、”いかなる犠牲を払ってでも世界の終わりに諍う”かを。……それが昨夜のお二人や、”それ以外の各方面”に打診した内容です。」
「………………」
「それ以外という事は……レミフェリアと”メンフィル・クロスベル連合以外にもエレボニアとの戦争勃発寸前の状態になっているあの国”以外も……」
「クスクス、やるわね。レンとルイーネお姉さんでも”エレボニア帝国政府に協力しない事を約束させる事までしかできなかったのに。”」
「……てめえ……しかも過去形で語りやがったな?」
「チッ……あのカイエンのオッサン以上にイカれてやがるな……」
ミュゼの狙いを知ったトワは呆然とし、アンゼリカは厳しい表情をし、レンは意味ありげな笑みを浮かべてミュゼを見つめ、アッシュとクロウは目を細めてミュゼを睨んだ。
「はい―――”大地の竜”と同様、もう、わたくしの仕掛けは止まりません。仮にわたくしが死んだとしても各方面は”選択”を迫られるでしょう。ふふ、果たしてどちらが選ばれるか、”予見”は差し控えておきますけど……人は愚かでありながらも誇り高く、窮地にあって力強さを見せる生き物です。それが決め手となるでしょうね。」
「……ッ。」
「………………」
「……なんて覚悟……しかもそこまで見越すんだ。」
「……ようやく理解できたよ。何故メンフィル・クロスベル連合が”エレボニア皇帝や帝位継承者でもなく、宰相でもない君との交渉で和解条約の内容の一部変更に応じたかを。”――――――メンフィル・クロスベル連合は君のその”盤面の指し手”たる能力を評価し、君がその能力でメンフィルとクロスベル、それぞれの今後――――――いや、”戦後の盤面を予見する事を引き換えにクロスベルの迎撃戦で奪われたパンダグリュエルの返還もしくは貸与を含めたヴァイスラント決起軍への様々な援助や和解条約の一部変更”に応じたんだね?」
ミュゼの説明を聞いたトワは息を呑み、アッシュは目を細めて黙り込み、フィーは真剣な表情でミュゼを見つめ、アンゼリカは重々しい様子を纏って推測を口にした。
「大正解♪しかもミルディーヌ公女は”自分があからさまに新メンフィル派である事も自らの行動で証明しようとしている事”もパパやヴァイスお兄さんとの交渉で宣言したから、パパを含めたメンフィル帝国政府もミルディー公女を信じる事にしたのよ♪」
「ミュゼちゃんが”自分があからさまに新メンフィル派である事も自らの行動で証明しようとしている事”ってもしかして…………」
「ミュゼがリィンの側室の一人になる件だね。」
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