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包青天
第二章

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 だが、だ。この度のことはというのだ。
「幸い元輔殿はな」
「そこまでは、ですね」
「酷くはないですね」
「確かに悪い御仁ですが」
「それでも」
「悪人でもそこまで腐った輩は滅多にいない」
 事実を突き付けられてもまだシラを切る様な輩はというのだ。
「そうした輩はそれはそれで裁く方法があるがな」
「そうした輩は平気で嘘を言いますからな」
「その場その場で」
「やがてその嘘の一つ一つに矛盾が生じます」
「そこからですな」
「その輩が認めずともその事実を世に出して罪を明らかにしてだ」
 そうしてというのだ。
「法に照らして裁く」
「そうしますな」
「そこまで腐り果てた外道は」
「そうしますな」
「そうした輩の場合は」
「うむ、しかし元輔殿は事実を突き付ければ終わる」
 そこで罪を認めるというのだ。
「これまでは実に巧みに尻尾を捉ませなかったがな」
「賄賂についても」
「他の悪事についても」
「それで永進様も中々裁けませんでしたが」
「常に探られているのを憎く思われ」
「そして殺されたので」
「そこまではわかる、だが何を使って殺したか」
 珠あの後ろを殴ってというのだ。
「その道具がわからなぬな」
「随分と重く硬いものの様ですが」
「殴られた傷を見ますと」
「頭の骨が割れて頭がへこんでさえいます」
「口から血も吐かれています」
「だとすればです」
「重く硬いもので殴られたことは明らかです」
 官吏達も口々に言った。
「ですがそれでも」
「何で殴ったか」
「それがですな」
「わかりませぬな」
「そこがわからぬ」
 こう言ってだ、包拯は証拠がないことにどうかとなったいた。それで暫し考えているとある官吏が彼のところに来て言った。
「万歳翁から下賜されるものがあります」
「万歳翁からか」
「はい。暑い時なので」
 だからだというのだ。
「氷をです」
「氷でか」
「涼を取ってもらいたいと」
 皇帝がそう気遣ってというのだ。
「それで」
「そうか、万歳翁のお心にも応えなくてはな」
 何としても事件の真相を突き止めたい、こう思いつつだった。包拯はそのうえで皇帝からの氷を受け取った。そこでだった。
 氷を入れた桶を入れた官吏達が苦労して包拯の前までその氷を持って来た、そうして彼等は言うのだった。
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