三十二 蜘蛛の糸
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肌が焼け爛れたナルを治療した医療忍者───カブトだ。
木分身からの連絡で、偽の遺体で追跡の足を止めようとしているカブトの魂胆を把握したヤマトは、周囲を注意深く観察しながら、先を急ぐ。
「大蛇丸が相手だ。慎重すぎるくらいがちょうどいい」
なるべく足音を立てぬように、大蛇丸達を尾行する木分身の指示で移動する。
道中、サイの遺体に起爆札が貼られていたというハプニングがあったものの、それからも鬼童丸の蜘蛛の糸を辿って、大蛇丸達の後をきっちり尾行していた木分身。
その木分身からの指示で目論見通り、大蛇丸達が現時点で根城にしているアジトの場所を見つけたヤマトは、岩陰に身を潜めた。
広い湖を通り過ぎ、荒れ果てた大地へ移動する。
木分身からの話では、この近辺の岩の割れ目から大蛇丸のアジトへ潜入できるはずだ。
荒れ果てた地にぽつぽつと疎らに生えている木の一本に擬態している木分身と再会する。
岩場の下に大蛇丸のアジトがあるという木分身からの話に頷いたヤマトは、「それじゃあ行こうか」とシカマルとナルを促した。
ごくり、と生唾を呑み込むナルはアジトがあるという岩場を鋭く見据える。
もしかしたらあのアジトに、サスケやサクラ、それにアマルがいるかもしれない。
そう考えて、一歩足を踏み出したナルを、ヤマトはおもむろに止めた。
「その前に、ナル。君に聞いてほしい」
シカマルが止めるよりも先に、ヤマトは淡々とナルに忠告する。
それはいっそ残酷な真実だった。
「先ほど大蛇丸と戦って、地形をクレーターのようにしたのは君だよ。ナル」
蝋燭の火がぼんやり、殺風景な室内を照らす。
蛇の腹の内側の如き回廊を進み、大蛇丸のアジトをカブトの先導で案内されたサイは、顔色を変えないまま、何もない部屋を見渡す。
「此処が君の部屋だよ。何もない殺風景な部屋だけどね」
そう弁解するカブトに、サイは「お構いなく」とにっこり嘘くさい笑顔を浮かべた。
木ノ葉の里にある自室も絵ばかりが壁に掛けられた殺風景なものである。むしろ懐かしい感じがして、サイは大人しく頷いた。
素直な態度に気を良くしたカブトはふっと口許に軽い微笑を浮かべると、サイを部屋に残したまま、部屋を出ようとする。
だがその扉を開けて、閉める間際に「あぁ、そうそう」と今、思い出したかのようにカブトはにっこり笑顔をサイに向けた。
その笑顔はサイの嘘くさい笑みに負けず劣らず胡散臭いものだった。
「悪いけど、外から鍵を掛けさせてもらうよ。理由はほら…わかるだろ?」
いくら大蛇丸の部下になったからと言って、元はダンゾウの部下であり、木ノ葉の忍びだ。
ダンゾウと大蛇丸のパイプ役と言っ
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