三十二 蜘蛛の糸
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に呆れていた。
「カブト…貴方、A型だったかしら」
「いえ、AB型ですけど」
「そう…意外ね」
血液型を聞いて、口許を若干引き攣らせる大蛇丸に対し、素知らぬ顔で答えたカブトは「それと、」と付け足した。
「アジトに戻ったら、無傷の男の死体を早急に頂きたいのですが」
「もうストックは無かったのかしら?」
「ええ。巻物の中は常に年齢順にきちんと保存しておかないと落ち着かなくて」
にこやかに話すカブトの顔は爽やかで、とても死体の話をしているとは思えない。己に従う付き人を流し目で見やりながら、大蛇丸は水面を蹴った。
「好きになさい。でも今のアジトに無傷の死体なんて残っていたかしら…」
「南アジト監獄になら遺体が残っていると管理者から聞き及んでいますが」
「ああ、あの子ね」
つい先ほど対峙していた木ノ葉の忍びたるナルの顔を脳裏に思い描きながら、大蛇丸は口許に弧を描く。そうして彼はカブトの要望をあっさりと許可した。
「なら、連絡を取って、遺体を運んでくるように頼みなさい」
「承知しました」
大蛇丸とカブトの会話を背後で聞いていた彼は、眼を細める。駆ける際に撥ねる水の音のせいで断片的にしか聞こえない。
おそらく遺体とは、今カブトが偽造した故に足らなくなったのだろう。自分が死んだと、追跡者に見せかける為に。
(南アジト監獄…どうやら大蛇丸の根城は至るところにあるようだな)
無表情の裏で、心の内でそう呟いた彼────現在、ヤマトの木分身に遺体として発見されているサイは、大蛇丸とカブトの後ろ姿を油断なく見据えていた。
「どういうことだってばよ!?サイの遺体って!」
ヤマトとシカマルから、サイが大蛇丸とカブトの後を追ったという話を聞いて、一度困惑しながらもナルは激昂していた。
途中で記憶が定かではないが、サイと言えば、木ノ葉の忍びだ。
『根』の一員でダンゾウの部下ではあるものの、同じ里の忍びが何故、大蛇丸と共に行動するのか。
更に遺体となって発見された、という衝撃に驚きを隠せないナルの詰問を背中で聞きながら、ヤマトは「正確には偽の死体だよ」と涼しい顔で答えた。
「…カブト、っスか?」
すぐさま察したシカマルに、ヤマトは肩越しに振り返って頷く。
木の枝から枝へと飛んで大蛇丸達を追い駆ける彼らは速度を落とさないまま、言葉を交わした。
「鬼童丸の蜘蛛の糸が無ければ騙されていたね」
木分身が発見したサイの遺体は、一目では見逃してしまうほどの完璧な仕上がりだそうだ。偽の死体を本物のサイそっくりに見せかける手腕の持ち主は現状では彼しか考えられない。
九尾化して
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