三十二 蜘蛛の糸
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「そうか、わかった」
木分身からの報告を受け取り、ヤマトは散々たる惨状のこの場を見渡した。
木々はなぎ倒され、地面が抉れたように穿たれており、元々くぼんだ地形だったかのようだ。
つい先ほどまで頭上で咲いていた蓮の花は今や無く、ごっそり森が消えたかのように荒れ果てた地だけが広がっていた。
地面から木の根や茎を成長させ、周辺を巨大な樹木が無数に絡み合う地形に変え、巨大な蓮の花を咲かせる【木遁・花樹界降臨】。
その術がいつの間にか解かれている。
誰が術を掛けたのかわからぬが、相当の術者に違いない。
それも木遁を操れる者が自分以外の他にもいたとは、とヤマトは顔を険しくさせた。
しかしながら、思案に暮れるのは後回しだ。思考を一時中断し、ヤマトは静かな二人の様子を窺った。
九尾化して我を忘れて暴れ、つい先ほど意識を取り戻したナル。九尾化したことも暴れたことも忘れてしまった彼女は、当初、抉れた地形をキョトンと不思議そうに眺めていた。
だが直後、横たわる存在を見つけて、ハッとして駆けだす。ナルの視線の先を追ったシカマルが慌てて彼女を止めようとしたが、時既に遅し。
立ち竦むナルの足元には、左近・右近、そして鬼童丸の遺体が転がっていた。
遺体を埋めている間、ナルは終始黙していた。普段、明るく元気いっぱいなので、その差は激しい。
同じくナルと共に穴を掘っているシカマルは無言で、彼女の望み通り墓をつくっていた。
やがて、左近/右近、鬼童丸の遺体を各々埋めた墓前で手を合わせるナルとシカマルを眺めていたヤマトは頃合いを見計らって、声をかける。
「…そろそろ、いいかな?」
彼らの墓をつくって拝んでいたナルとシカマルに話しかけたヤマトの表情は無で、何の感情も窺えない。
綱手から前以てヤマトの情報を知っていたシカマルは(流石、三代目在任時からの暗部一番の使い手だな)と内心、感心していた。
「ナル・シカマル。悲嘆に暮れているところ悪いけど、時間がない」
左近/右近と鬼童丸の死を嘆くよりも優先すべきは、大蛇丸・カブト・サイの追跡だ。
その先に大蛇丸のアジトがあるのは明白。なんとしてもこの機会を逃すわけにはいかない。
「今、僕の木分身が大蛇丸達を尾行している。それもこれも、鬼童丸の置き土産のおかげだ」
「置き土産?」
眉を顰めるシカマルに、ヤマトは「蜘蛛の糸だよ」と鬼童丸の遺体を埋めた地面を見下ろしながら答えた。
「どうやらカブトに秘かに取り付けてくれていたらしい。本当に助かった…僕の【送信木】が使い物にならなくなったところだからね」
「そーしんき、ってなんだってばよ?」
聞き慣れぬ言葉に、ずっと黙していたナルがようやく顔を上げた。悲しみの色は未だにその顔に色濃く残っているが、ヤマト
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