第三章
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「終わったな」
「いや、はじめた年で数ヶ月でね」
「敵が来てな」
「あっという間に攻め滅ぼされたね」
「速かったな」
「そうだね」
啓永も頷いて返した。
「本当にあっという間だったね」
「こうなるって思ってたらな」
「実際になったね」
「まあ普通こんな馬鹿なことしないからな」
軍隊が存在しているゲームで軍隊を全廃することはというのだ。
「本当にな」
「そうだよね」
「あの学者さんこんなゲームもしないんだろうな」
「本ばかり読んでるのかな」
「本読んでてもあそこまであれになるのか?」
颯は啓永にいぶかしんで返した、流石に今回ははっきりとは言っていない。
「それはないだろ」
「けれど学者さんだからね」
それでとだ、啓永も返した。
「だからね」
「本ばかり読んでるか」
「そうじゃないかな、けれどね」
「実際に本相当に読んでもな」
「あれな人はあれかな」
「どんな本読んでるんだよ」
「だからああなる本かな、何かそんな本読むよりは」
どうかとだ、啓永はあらためてそのシュミレーションゲームを最初からはじめつつ颯に話した。
「こうしてゲームした方がずっとためになるかもね」
「絶対にそうだろ、というか何度言われても人の話受け入れないしな」
「人の話絶対に聞かないよね」
「あれも駄目だよな」
「自分の考えが間違ってるとか思わないのかな」
「どういう学者なんだよ」
「あの人の言う通りにしたらさっきみたいになるのに」
すぐに攻め込まれてゲームオーバーになるというのだ。
「冗談抜きでわからないのが不思議だね」
「そこがわからないな、あれで学者出来るんならな」
「俺達でも出来るかな」
「いや、小学生でも出来るだろ」
こうまで言う颯だった。
「ゲームやったらすぐにわかる話がわからないんだからな」
「喚いてばかりだしね」
「あんなのだったら子供でも出来るぜ」
学者になれると言うのだ、こう言ってだった。
颯は啓永と共にゲームを楽しんだ、そしてそこから多くのことを学んだ。遊びから学んだことはその学者が言っていることよりも遥かに有り難いものだった。それは常識というものであった。
非武装中立 完
2019・6・11
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