第二章
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「別に」
「何がだ」
「言っていることちゃんと聞いてみればいいこと言ってるぞ」
「何処がだ」
「何から何までだよ、だからあんたもちゃんと聞いてな」
「誰が聞くものか」
「そう言うがあんたの妹とそのご主人もな」
友人はウマルを止めようと必死に話した。
「改宗したぞ、イスラムに」
「何っ!?」
ウマルは友人のその言葉に怒ってそうしただった。
立ち止まりそのうえで彼に問うた。
「それは本当か」
「嘘なんか言うか、そのこともあるからな」
「だからというのか」
「ムハンマドさんを殺そうとかな」
「考えが変わった、妹達のところに行って来る」
こう言ってだった、ウマルは踵を返して妹夫婦の家に行った、そうしてことの真意を問いただしてから二人を散々に打ち据えた。だがここでだった。
妹が自分に殴られながらも言ったコーランの章句を耳にしてこう言った。
「それがイスラムの教えか」
「はい」
妹は兄にその通りだと答えた。
「左様です」
「ふん、確かに悪くはないかもな」
口をへの字にしたまま述べた。
「イスラムは」
「そう言って頂けますか」
「だが俺は信じない」
あくまでその考えは変えないつもりだった、そうして妹の家を後にしてそのうえで気分が変わったのでムハンマドを殺すことも今は止めた。
そのうえで時をあらためてムハンマドへの嫌がらせをしようと思ったがそれでもだった。クライシュ族の偉い者達はイスラムを自分の様に嫌がらせをしてだった。
カアバの神殿で祈りたくとも出来ないのを見てそれで妹に問うた。
「何故嫌がらせを受けている」
「兄さんがそう言いますか?」
「俺は面と向かってやっている」
これが彼の言い分だった。
「止めろとな、しかしだ」
「しかし?」
「部族の偉い人達は陰湿だ」
その嫌がらせの仕方がというのだ。
「カアバの神殿に入れていないな」
「私達はそこで祈りたいのですが」
「それでもだな」
「入れてもらえません」
「俺は入ったところを出て行けと言うが」
「同じことではないですか?」
「違う、俺は堂々とやるが」
「あの人達はですか」
部族の偉い者達はというのだ。
「陰湿だから駄目ですか」
「俺は一人で向かっている、俺の力でな」
「そう言われますと」
「お偉ら方は徒党を組んで権力を使ってだ、そんなことは駄目だ」
「兄さんの考えでは」
「絶対にだ」
それこそというのだ。
「それは駄目だ、ましてや徒党を組んで入れないなぞな」
「カアバの神殿に」
「それは駄目だ、絶対にな」
「だから言われますか」
「断じてな、そんなことは許されるか」
ウマルは今は自分の部族の偉い者達に言うのだった。
「俺みたいに堂々と自分の力でやれ」
「同じだと思いますが
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