第一章
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捻くれ者の改宗
ウマルは大変な大男だった、そして石の様な拳を持つ男であった。
メッカのクライシュ族のアディー家の者でありその石の様に固い拳のこともあり武勇に優れた男であった。
だが彼はムハンマドがメッカでイスラムの話を熱心に言っているのを聞いて彼に対して怒って言った。
「お前は何を言っているのだ」
「唯一にして絶対の神の御教えを言っているのだ」
ムハンマドはウマルに毅然として言い返した。
「アッラーのな」
「唯一にして絶対だというのか」
「そうだ、この世の神はアッラーだけだ」
ムハンマドの言葉は毅然としたままであった。
「そして私の言葉こそがだ」
「アッラーの言葉でか」
「この言葉を疑うならだ」
それならというのだ。
「神を否定するということだ」
「この世の神はアッラーだけの筈があるか」
ウマルは自身のいるクライシュ族の信仰からムハンマドの教えを否定した。
「お前の言うことは間違いだ」
「そう言うのか」
「そうだ、二度とここでこの様なことを言うな」
「アッラーの教えを説くことはか」
「同じクライシュ族のよしみで今は許してやるが」
それでもというのだ。
「次からは許さないぞ」
「安心しろ、私はお前に許されずともだ」
売り言葉に買い言葉ではなかった、ムハンマドは燃え上がる心のままウマルに対して胸を張って言った。大男のウマルには体格で負けるがそれでも胸を張り堂々としていた。
「アッラーの言葉を説き続ける」
「なら俺はあくまでお前を許さん」
「許されずとも説いていく」
ムハンマドはあくまで言った、そしてこの時以降も彼は実際にアッラーの教えを説き続けていた。ウマルはその彼に対して常にだった。
自ら出向いて怒鳴り拳まで出してムハンマドがメッカで教えを説く邪魔をした、とかく必死にやっていたが。
それでもムハンマドは止めない、それで彼は家で言うのだった。
「あいつは何なのだ」
「ムハンマドさんね」
「最近アッラーがどうとかいつも言ってるわね」
「そうだ、一体何だ」
こう家族に言うのだった。
「暗い種族の信仰を何だと思っている」
「ある日急に教えられたとか言ってるわね」
「ジブリールに啓示を受けたとか」
「アッラーのお言葉を」
「そう言ってるわね」
「いつも」
「クライシュ族の信仰を無視して何を言っているのだ」
とかくウマルはこのことが不満だった、岩石の様な顔をこれ以上はないまでに顰めさせてそのうえで言うのだった。
「一体」
「そう言うけれど」
「今あの人の教えを信じる人が出て来ているわよ」
「このメッカでも」
「確かにね」
「そうなっているわ」
「それがわからないし認めたくもない」
到底という返事だった。
「
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