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MIND GAME
第一章

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               MIND GAME
 ただ退屈だった。
 それで私は一緒に部室にいる友達にこう言った、私が所属している文芸部は昨日部で発行している同人誌の執筆も発行手続きも終えてほっとしていた。
 それで本来は部活は休みだったけれど今日は特にこれといってやることがなかった私は放課後部室に来た。そこに隣のクラスの彼女もいたのだ。
 その彼女にだ、私は言ったのだ。
「何かすることない?」
「あんた何もすることないからここに来たのよね」
 友達は今読んでいる本を読みつつ私に答えてくれた。
「そうでしょ」
「ええ、けれどね」
「部室に来てもっていうのね」
「そう、それでもね」
 どうにもというのだ。
「これといってね」
「やることはなくて」
「それでなの」
「暇を持て余しているの」
「そう、本当にね」
 実際にと言うのだった。
「どうしたものかしら」
「今読みかけの本ないの?」
 友達は私にどうかという目を向けて言ってきた。
「文芸部なんだし」
「そう言われたら」
「あるでしょ、何か」
「読みかけの本あったけれど」
 私も文芸部だ、それなりに読書は好きだ。それで今も読みかけの小説があって楽しんで読んでいる。
 けれどだ、肝心のその本が。
「お家に忘れてきたの」
「そうなの」
「だから余計にね」
「困ってるのね」
「そうなのよ、これが」
「じゃあお家に帰って」
 それでとだ、友達は私に今度はこう言った。
「そこで読めばいいでしょ」
「それはね」
「そうでしょ、だったらね」
「けれど今お家に帰ったら」
 私は友達に私の事情を話した。
「忙しくてね」
「あんたのお家お店やってたの」
「普通のお家よ、ただお母さんが家全体の模様替えに凝ってて」
「早く帰るとそれを手伝わされるのね」
「私模様替えに興味ないから」
 それでだ。
「手伝いたくないからよ」
「お家に帰りたくないのね」
「そうなの。もう部室の本読もうかしらって言いたいけれど」
 部室の本を見回した、すると今部室にある本はというと。 
 魯迅にエドガー=アラン=ポー、小泉八雲に夢野久作、横溝正史に江戸川乱歩といったものだ。どれも私の趣味じゃなかった。
「怖いものばかりじゃない」
「あんたホラー苦手だったわね」
「そう、そうした雰囲気の作品はね」
「抵抗あるのね」
「魯迅なんて正直言って」
 今の部長さんが大好きだ、もっと言えば部長さんはホラ―自体が好きでファンタジーや夏目漱石とか正統な純文学が好きな私とは趣味が全く違っている。
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