第163話
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麻生が戻ってきた時には、制理と桔梗は仲良くコーヒーを飲んで話し込んでいた。
少し気になったので聞いてみる。
「何を話しているんだ?」
「秘密よ。」
桔梗はコーヒーを飲みながらそう言った。
制理に視線を向けると逸らされた。
どうやら、彼女も教える気はないようだ。
それが分かった麻生はキッチンに足を運ぶ。
冷蔵庫の中身を確認しつつ、黒のエプロンをつける。
外は夕闇に包まれつつあった。
「晩ご飯のメニューは勝手に決めるぞ。」
「お願いするわ。」
その言葉を聞いて麻生は調理を開始する。
調理する後姿を見ながら、制理は桔梗に話しかける。
「恭介って料理できるんですね。」
学校生活しか見ていない制理にとって、麻生が料理をする姿は驚きであり、新鮮なのだろう。
「吹寄さんは彼の料理は食べた事ある?」
その言葉に首を横に振る。
そもそも、麻生は学校で昼食を食べている所など見た事がない。
故に料理ができるなど今初めて知った。
「彼の料理はそこらの料理店より美味しいわよ。」
「へぇ〜。」
興味深そうな眼をしながら、麻生に視線を移す。
何を作っているのは分からないが、野菜を切る音が聞こえる。
「何を作っているの?」
「今日はとんかつだ。
ちょうど、材料もあったしな。」
麻生が切っているのはキャベツだ。
せん切りにした後、にんじんも同じようにせん切りする。
キャベツと合わせて水をはったボウルに入れる。
揚げ物用の鍋に油を入れて、中火で熱しておく。
豚ロースは赤身と脂肪の境目に包丁の刃先で切り目を四〜五本入れて、スジを切る。
両面に『味の素』・塩・こしょうをふる。
これで肉の持ち味が引き立つ。
バットに卵を溶きほぐす。
豚肉に小麦粉を薄くまぶしつけ、余分な小麦粉ははたいて落とす。
「何か手伝う事ある?」
「そうだな。
テーブルを片付けて皿を出してくれ。」
次に炊飯器に米を炊く準備を進める。
ボタンをお急ぎのボタンを押す。
溶き卵、パン粉の順に衣をつける。
衣をつけたロースを入れて菜箸で返しながら三分ほど揚げる。
強火にしてさらに一分ほど揚げ、取り出して油をきる。
食べやすい大きさに切って制理から皿を受け取り器に盛り、とんかつソースをかける。
キャベツとにんじんを盛り、レモンを添える。
次に簡単なみそ汁の準備を始める。
もう一つの鍋に余ったせん切りのキャベツに、水、顆粒だし、乾燥わかめを入れ、キャベツに火が通るくらいまで待つ。
キャベツに火が通ったら、味噌をとき、器に注ぐ。
ちょうどその時、炊飯器で炊いていた米が出来上がる。
(さすがは学園都市製。
すぐに出来上がるな。)
蓋を開けて、米をほぐしな
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