第一部
死と共にはじまるものは、生である
愛は死よりも、死の恐怖よりも強い
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んぞ?」
仮面の下で嘲る声が聞こえる
「??あぁ、そうさな
我が抜かれた、ただでさえ弱い体はもう、じきに果てる」
もう、心臓の音も止んだ
トビがまるで汚物を捨てるように投げ捨てた
「ならば大人しく封印されていろ」
そうそうニンゲン如きの思い通りになってたまるものか
いつもいつもお前達ニンゲンはそうやって我らを投げ捨てる
あの仔もそうだった
「抜かれて足りぬのであれば、詰めて満たせばよかろう?」
そう言って笑ってやれば、目が赤くぎらつきよった
全く、これだからニンゲンは好かんのだ
最後の術を発動させる
火があの仔を包み込み、我が尾を2本入り込ませた
もうこれ以上してやれることはない
あとはただ、成り行きを見守ろうぞ???
◇
痛みと苦しみ、恨みと嘆きが合わさって胃の腑を燃やした
そのジクジクとした熱さが、黄泉路への灯火だということを知った
白い柔らかなシーツの冷たさが、体の火照りを冷ましてくれる
なかば炭化していた右腕を動かそうと力を込める
診てくれた医者の腕が良かったのか、なんとか動かせた
「・・・あ゛の゛ばぐばづま゛・・・
いづがぜっでーなぐ・・・げほっ」
口内に溜まった血で噎せ返る
2、3分ほど噎せ続け、ようやく落ち着いた
――何をやっていたんだろうか
意地をはったところで、現状をひっくり返せる力を持たない俺に何が出来たというのか
結局マダラに警戒され拷問を受け、洗い浚い吐いただけじゃないか
そうして死を待つだけの俺に、あの狐は何を考えていたのか
なんで俺なんかを助けた
お前なんか嫌いだったのに、恐がったのに
涙が溢れて止まらない
「おぉ、起きたか!」
白髪に赤い隈取り、眩しく笑った老人は、伝説の三忍・自来也
手に水の入った桶に真新しいタオル、どうやら助けてくれたのは彼らしい
礼を言うことも忘れ、溢れる涙をぬぐうことも忘れ、ただ呆然と口を開いただけだった
え、これ、どういうこと
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