第一部
死と共にはじまるものは、生である
愛は死よりも、死の恐怖よりも強い
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き込んだその目は、赤く、ぎらついていた
軽く笑ってみたら、有無を言わさず気絶させられた
良いさ
なにも全てがお前の思う通りにはいかないと知ってもらえれば
弱いオレが、目的を知っていたのだと言い表せぬ不信感を持ってもらえれば
それで良い
◇
何がどうなったのか
我が精強なる月隠れが、傭兵集団ごときに敗れ去るというのか
眼下に項垂れる負傷者たちにかける言葉も見つからず、里長としての責務も忘れて神殿に向かう
あの地下神殿が顕在であれば、他国に散らばる信徒たちを焚きつけて奴らに対抗する事が出来る
早く、早くと焦りすぎたせいか、側近たちは周りから姿を消していた
しかし、早く到着する事が出来たことに安著したのも束の間のこと
信徒用に作られていた、重厚な石造りの入り口が無残にも爆破されていた
神殿関係者のみに教えられる出入り口から地下へと降りる
クナイや手裏剣、爆発や様々な術の痕跡
地下に降りるたび、その傷跡は深く、激しい戦いがあったことを知らされる
水浸しとなった大広間へとたどり着き、柄にもなく叫んだ
仮面の男が子供、いや、小柄な青年を抱き上げている
口から血を流し、青褪めながら気絶しているその青年は、まぎれもなく我が里の人柱力で??俺の唯一の甥であった
「その子を離せッ!」
仮面の男は振り返ることもなく、人柱力を連れて消えた
また、周囲にいた男たちもそれに習うかのように消えていった
負けた
完璧な敗北だった
里も守れず、甥すら守れなかったのだ
これを負けと言わず、何だというのか
◆
守ってみせると誓ったのだ
他の誰でもない、自分自身に誓ったのだ
あの仔を守ると誓ったのだ
誓ったというのに、何故我は何もできない?
何故助けてやれない?
拷問を受け、我を抜かれ死を待つだけとなったあの仔を、どうして助けてやれないのか
トビと呼ばれた仮面の男が、黄泉路へ旅立とうとするあの仔を引きずり上げる
切り刻まれた体、首に絞め跡、幻術を見せられた虚ろな目、毒が混じりあい濁った唾液が滴り落ち、手足は砕かれ爆破された
何の抵抗も出来ないあの仔を助けられない
何が尾獣か、助けることもできない無力な獣が、何が尾獣か
必死に模索する
助ける術を、見つけなければならない
ふと、記憶の隅に追いやった術を思い出す
時空間忍術、まだ我は完全には封印されていない、チャクラの使用は可能だ
出来る、守れる!
藁をも掴むかのように、チャクラを練り上げる
彼奴等に気づかれない前に、早く、逃がさなければ??
「・・・九尾め、時空間忍術を利用したところで??人柱力はもう持た
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