第一部
死と共にはじまるものは、生である
愛は死よりも、死の恐怖よりも強い
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る
「・・・哀れな仔・・・」
先代の宿主は、かように脆弱なものだっただろうかと溢し、尻尾で涙の洪水を一掬い
鈍い音を立てて、毛どころか身をも焦がした
大いなる獣よと、大妖怪よと讃えられた、この我の身を焼き尽くす涙
凝縮された恨み
我以上の恨み
「本当に・・・哀れな・・・」
せめて最後まで、天寿を全うするまでは守ろう
それが狂わせてしまったことに対する、せめてもの償いのはずだから
今度こそ、守ってみせよう
◇
長く短い月日が過ぎ、18歳の誕生日が来た
相も変わらずの軟禁・地下生活
度々吹っ飛ぶ記憶に、自分に障害が出来ていると理解した
肉体的なもの以外に、精神にも異常が見られることから、生来の虚弱体質が原因だと断言できない
九尾の声・・・あぁ、そういえばパルコと呼べと言われたっけ
尾獣・パルコの呼びかけがある度に発熱するのが、異常の原因なのか
虚弱体質か、それともこの地下での軟禁生活か
あるいはこれら全てが原因なのか
少しずつ俺の心は壊れていった
パルコの言では、このままだと俺は30歳ぐらいで死ぬ確率が高いようだ
熱に魘されながら、早死にやだなーとおぼろげに考えていた日が懐かしい
きっと、今日にでもオレは死ぬのだろう
腰元に迫りくる水を眺めながら、椅子に座した
昨日初めて知ったことだが、なんとこの世界にも”暁”は存在していたのだ
ここ最近信徒さん来ないし、里上層部も傍付きの医療忍者も慌ただしいので聞いてみたところ
この国、他国と絶賛・戦争中だそうです
昨日、敵国の雇われ集団”暁”に襲撃されたそうだ
そして本日未明、暁による地下神殿への襲撃が始まった
傍付きの誰かと暁が交戦したらしく、水遁が使用され神殿中水浸しだ
原作でも傭兵として雇われていた暁だが・・・この世界でも同じらしい
ということは、だ
尾獣狩りも行われている可能性がある
木の葉の里ないけど、マダラとかいるの?と思ったけれど別人が黒幕かも知れん
予想でしか考えられないが、人柱力である俺が狙い・・・なのか
もしそうなら、近いうちに尾獣を抜かれて俺は死ぬ
里の人間は助けてはくれないだろう
我愛羅のように、命をかけてくれるような人は・・・いないから
◇
「九尾の人柱力か」
ついにやってきた雲の外套の男たち・・・って、八人もいる?
2人一組じゃなかったのかお前ら
たった一人の、無力な人柱力相手に大人数で囲むとは・・・大人げねぇ
俺に戦闘能力があれば原作知識で逃げ切れるんだろうけど
病弱巫子様の噂は他国にも流れてるって聞いていたから油断してくれないかな
しかし
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