第五十四話 ドゥカーバンクの戦い・後編その1
[1/6]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
北の海には『王』が存在していた。
『王』が精霊の力を使い周辺の海を制圧してから、およそ数千年。回遊魚達が出ていっては戻り、戻っては出てゆく事を何千回と繰り返し、『王』とその家臣達は栄華を極めていた。
たまに迷いこんで来たモノも居たが、大抵は脅かせば怖がって近寄ってこなくなった。だが、ここ最近、堂々と侵入してきたモノ達がいた。
いつもの様に、取り巻きを派遣し追っ払ってこれで解決、と思ったが再び奴らはやって来た。
『……今度も同じ目に遭わせてやろう』
『王』は再び家臣達を派遣し、侵入者達を懲らしめようとしたが、今回は逃げる所か歯向かって来た。
『王』は不思議に思った。
今まで、この様な事態は一切無かったからだ。
『王』は様子見を考えていたが、家臣達は『侵入者を討つべし!』と騒ぎたて、何度も『王』の周りを泳ぎ回った。
硬い鱗を持ち、最も凶暴な家臣(水竜)は、本能のままに侵入者達に襲い掛かり、流されやすい家臣達もそれに釣られる様に侵入者の討伐に出て行ってしまった。あの凶暴な家臣は、度々問題を起こし『王』を悩ませていたが、実力は折り紙つきだった。
……だが、相手はさらに強かった。
優秀な家臣達はことごとく侵入者に屠られ、凶暴な家臣も無残な死に方をした。
この時、『王』は海底の奥底で、家臣と侵入者の戦いを『精霊』を通して見ていた。
侵入者が放った光で家臣は死んでしまったが、同時に中継していた『精霊』も、あの光によって消滅してしまった。
『……アレは危険だ』
空に海に大地に、太古の昔から存在し続ける不滅の存在であるはずの『精霊』を殺す謎の光……『王』はあの光を危険視し、侵入者を追い返すのではなく葬ろうと決意した。
そこからの『王』のは早かった。
海底に鎮座していた200メイルもの巨体を動かし、海面へと急浮上をする。
そして、『王』は海面付近に居た侵入者を、その巨大な口で飲み込んでしまった。
海面には何も残っていなかった。
☆ ☆ ☆
『王』に呑み込まれてしまったマクシミリアン。さながらウォータースライダーの様に食道を滑り落ち胃袋に転がり込んで、勢い余って胃の内容物に顔面から飛び込んでしまった。
「うぉぇっ、ぺっぺっ。何だこれ?」
顔についたネバネバした内容物を取り払い、顔を洗おうと杖を探す。
幸い、杖は落とす事は無く、一緒に胃袋に流れ聞いて、杖を探し当てると『コンデンセイション』で水を作り出し顔を洗った。
「……しかし、ここは何処だ? 飲み込まれたって事は胃袋の中なのか?」
辺りを見ても真っ暗で生
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ