第五十四話 ドゥカーバンクの戦い・後編その1
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マクシミリアンは杖を振るうと、『水化』のスペルを唱えた。
マクシミリアンの身体が杖ごとスライムの様なゼリー状になり、やがて完全な水に変化した。
だが、そこで終わらない。水化したマクシミリアンの色が、血の色へと変化した。先ほどのウォーター・ビットもそうだが、血に変化すれば拒否反応を出さずに体内を移動できた。
やがて、マクシミリアンも傷口から浸透して行き、胃袋内にはマクシミリアンが履いていた海パンのみが残され、それもやがて胃液に溶かされてしまった。
☆ ☆ ☆
この時ベルギカ号は、飲み込まれたマクミリアンの復讐戦の為、『王』に対し砲火を交えようとしていた。
「右舷砲戦開始、撃てーっ!」
ベルギカ号右舷から無数の砲煙が上がった。
放たれた8発の砲弾は、海上に居座り続ける『王』へ吸い込まれる様に飛んでいった。
だが、砲弾は『王』の周りの目に見えないバリアの様な力が働き、砲弾はベルギカ号へと跳ね返されてしまった。『王』は、周辺の精霊と契約し精霊魔法の『反射』を使ったのだ。
幸い、ベルギカ号は空中を全速力で進んでいた為、跳ね返された砲弾は後方へ逸れ、一発も当たる事はなかった。
「もしかして、さっきの……」
「せ、先住魔法か!?」
艦長のド・ローテルを始め、士官達は驚きの声を上げた。
「文献でしか見たことが無かったが、あの海獣は先住魔法を……」
早々に『王』を倒し、マクシミリアンの救助活動の為にコマンド隊に準備をさせていたが、その目論見は脆くも崩れ去った。
「先住魔法が相手では、我々だけでは敵わないかも知れない……」
「諦めるな! ロケット砲の飽和攻撃ならば先住魔法を破られるかもしれない! 幸い、他の海獣引っ込んだまま出てこない。このチャンスを逃がすな!」
ド・ローテルは、弱音を吐く士官達を一喝した。
「も、申し訳ありません!」
「直ちに攻撃開始だ! 気張れよ!」
ド・ローテルの檄で、士気の高まった士官達は各部署へ散って行った。
その間にもベルギカ号は、黒煙を上げながら空中を行く。
コマンド隊の面々は、ベルギカ号艦首に集まりマクシミリアン救出作戦の準備に取り掛かっていた。
「救出作戦って言ったって、近づけなきゃ意味が無いだろ?」
ヒューゴが、一人愚痴った。コマンド隊の面々も先ほどの『王』の反射を見ていた。
「愚痴るな。敵海獣への攻撃が上手く行けば、救出への算段がつく。準備を怠るな」
「了解」
ヒューゴとアニエスが敬礼して答えた。
「ジャック。海獣の様子はどうだ?」
一人
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