第五十四話 ドゥカーバンクの戦い・後編その1
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臭く、素足を通して床がビクンビクンと波打つのを感じた。
マクシミリアンは、『ウォーター・ビット』を8基作り出し、次に『ライト』を唱えた。
『ライト』によって辺りが明るくなり、マクシミリアンは胃袋内を見渡す事が出来た。
「……あ〜。ピンクやら白いモノが辺り一面に……最悪」
胃袋内の広さは小さな体育館程度で、肉の壁が『ライト』の反射で、てらてらと光るのがとても気持ち悪い。
「こんな所とは、早くおさらばしよう」
杖をくるりと手の平の上で回す。
「……と、思ったけど良い事考えた」
マクシミリアンは、悪い笑顔をした。
「まず、最初に血液を調べて……」
マクシミリアンは、落ちていた魚の小骨で胃袋を引っかき血を出した。
そして、採取した血液を『ディテクトマジック』で徹底的に調べ上げ、遺伝子情報を脳内に詰め込んだ。
「来い、ウォーター・ビット」
ウォーター・ビットが8基全てが、マクシミリアンに近づき手の平の上に浮かぶ
「イル・ウォータル……」
マクシミリアンがスペルを唱えると、手の上のウォーター・ボール達が『パン』と弾け水に戻ると、やがて血の様に赤く染まった。
血の様な……と言ったが、これは血だ。しかも『王』の血だ。マクシミリアンが採取した血液から水魔法で『王』の血を作り出した。
意思を持つウォーター・ボールから作り出した血を脳に送りこみ、どこぞの寄生虫の様にコントロールする。これがマクシミリアンが考え出した作戦だった。
(恐らく、オレを飲み込んだこの海獣は、この海域の主なのだろう。殺すのは容易いが、殺せば別の海獣が主に納まってトリステインなりアルビオンなりのフネを荒らす。新たに討伐軍の編成をする、また別の海獣が主に納まる、そして、また討伐……無駄なサイクルを繰り返す事を考えれば、殺さずにコントロールした方が良い。最悪、コントロール出来なくても、トリステイン国籍のフネを襲わないように洗脳すれば、この海域の漁場を独占できる)
黙考に入ったマクシミリアンは、何度もウンウンと頷いた。
だが、黙考中のマクシミリアンを冷やかす様に、何でも溶かす胃液が胃袋内に浸み出してきた。
「んん?」
胃液に気付いたマクシミリアン。
「なんというお約束!」
こうしている間にも、胃液は辺りの内容物を溶かしマクシミリアンに迫り、有毒なガスまでも放出しだした。
「グズグズしている暇は無い……行け!」
マクシミリアンの魔法で、『王』の血液となったウォーター・ビット達は、血を採取した時の傷口から入っていった。ウォーター・ビットは血管へと浸透し、血管を通って脳を目指す手はずだ。
「後はウォーター・ビット達に任せて、オレも脱出だ」
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