第三章
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「今からなの」
「バレンタインのチョコ作るわ」
母にすぐに答えた。
「そうするわ」
「そうなのね」
「今から作って」
「冷蔵庫で冷やすのね」
「それであげるから」
こう言うのだった。
「そうするわね」
「パパとお兄ちゃんに祐樹に」
母は微笑んで話した。
「あの子よね」
「あ、あの子って誰よ」
母に言葉にだ、真帆はギクリとなった顔になって返した。
「一体」
「真帆ちゃんが一番わかってるでしょ」
「わかってないわよ」
母にも必死の顔を見せて言う。
「一体」
「真帆ちゃん子供の頃から嘘が下手ね」
母は今度はやれやれとなって言った。
「すぐにわかるから」
「嘘が下手って」
「いつも表情に出てね」
そうしてというのだ。
「お顔が赤くなったり青くなったり」
「そうなるの」
「もうすぐにそうなるから」
だからだというのだ。
「感情がわかってね」
「それでなの」
「嘘を言ってもね」
例えそうしてもというのだ。
「わかるのよ」
「そ、そんな筈ないわよ」
おろおろと戸惑う顔になってだった、真帆は母に反論した。
「そもそも私嘘言ってないし」
「その言葉自体が嘘でしょ」
「違うわよ、嘘なんて」
あくまで言いつくろおうとする。
「吐いてないわよ」
「じゃあどうして四人分買ったの?」
母はチョコレートの量を問うた。
「どうしてなの?」
「分量間違えて買ったのよ」
「そうなの」
「そうよ、だからね」
それでというのだ。
「仕方なくもう一人分作るから」
「そのもう一人分は誰にあげるの?」
「誰でもないわよ」
「いつもお家であれこれ言ってる子にでしょ」
「それ誰よ」
「だから岸田君でしょ」
母は彼の名前をそのまま出した。
「そうでしょ」
「違うわよ」
「だから顔にも出てるわよ」
それもあからさまにというのだ。
「本当に嘘下手ね」
「嘘なんかついてないから」
「はいはい、けれど今から作るのよね」
「ええ、そうするわ」
チョコレートのこと自体は素直だった、そしてだった。
真帆はチョコレートを手作りで作りはじめた、料理部でしかも小学校の時から作っているだけあってだった。
その手際はよくあっという間に四人分作って後は寝た、その翌朝。
真帆は昨夜自分が作った中で一番大きくしかも豪華に作ったチョコを持って家を出た、そうして学校に行くと。
部活の朝練を終えてクラスに入ってきた岸田を見るなり声をかけた。
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