コラボ特別編:響き翔く天の道
本物はどっち?
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させてその拳を受け止める。
地面を抉りながら後退る翔。しかし、翔も負けじと両足を踏ん張り、脚部のパワージャッキを伸縮させる。
「ハァァァァッ!タアァッ!!」
「ぐうッ!?」
引き絞られたジャッキが勢いよく縮小し、踏み出された一歩と共に擬態翔が後方へと吹っ飛ばされる。
「お前なんかに……響を渡すものかァァァァァッ!!」
「それはこっちの台詞だァァァァァッ!!」
翔が走り出し、擬態翔は着地と共に駆ける。
両者が繰り出した渾身の拳が、グラウンドの真ん中でぶつかり合う。
その瞬間、空気が破裂するかのような音と共に、強烈な衝撃波が運動公園全域へと広がった。
「翔くん!ッ!?」
響が飛ばされないよう身を庇う中、周囲を覆っていた黄色いガスの壁は引き剥がされ、やがて視界は明瞭になっていった。
「……ガスが……消えた?」
烈風が収まり、ガスの壁が吹き飛ばされたのを確認した響は周囲を見回す。
「ッ!そうだ、翔くん!!」
グラウンドの真ん中まで走り出す。
そこには……息を切らせて睨み合う、二人の翔の姿があった。
「翔くん……」
「「響……」」
響が駆け寄ってきた事に気が付いた二人は、同時にこちらへと顔を向けた。
「響、騙されるなッ!こいつが偽物だ!」
「何を言う!偽物はお前だッ!」
互いに人差し指を向け、主張し合う二人。
響は二人を交互に見ては首を傾げる。
(どっちが本物の翔くんなの……!?)
寸分違わぬ同じ顔。同じ体格、同じ服装、同じ声。
整体も、指紋も、遺伝子も、お揃いだと喜んだ胸の傷さえ、二人は全く同じものだ。
見分けようにも、区別のしょうがない。
「響……君なら分かるだろ?」
「信じてくれ響!」
「今、本物を見極められるのは響しかいないんだ!」
(どうすれば……どうすれば本物の翔くんを見つけられるの……?)
響は迷う。迷い、悩むほどに息が上がる。
視界がふらつき、世界が揺れる。
間違えればきっと、翔くんは傷つく。
同時にそれは、彼の死をも意味しているかもしれない。
ネイティブを選んだ瞬間、翔くんはきっと始末されてしまうだろう。
だとしても……わたしは選ばなくちゃいけない。
わたしは、どうすれば……──
「あの人が言っていた……」
背後から聞こえてきた声に、響は振り返る。
「天の道のわたし……」
「”本物を知る者は偽者には騙されない”。お前はきっと、大切な人を言い当てる。それはお前にしか出来ない事だ」
曇りかけている空。雲の向こう側に隠された太陽を指さし、カブトはそう言った。
「ッ!そうだ……。こんな所で迷っているなんて、わたしらしくない!」
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