第五十三話 ドゥカーバンクの戦い・中編
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
シー・サーペントは、アイス・ストームの暴風に巻き込まれると、氷の粒で傷つけられ、るとその巨体を空高く放り上げられてしまった。そして海に落ちる頃には既に絶命していた。
それが呼び水だったのか、怪獣達は一斉にマクシミリアンの居る氷山へ襲い掛かった。
「ウォーター・ビットは、各個に迎撃!」
マクシミリアンの指令でウォーター・ビット達は、近づく海獣達を狙撃した。
ビシュッビシュッビシュッ!
ウォーターショットの細い線が、氷山へと迫る海獣の頭や背びれに突き刺さる。
海獣達は次々と脱落して行ったが、中には噴水の様に血を噴き出しながらも果敢に迫る魚型海獣が居た。
「魚の癖にいい根性をしているな!」
マクシミリアンは、右手で杖を振るいスペルを唱え、左手でピストルの形を作った。
『ウォーター・ショット』
『ズガン!』という、空気が爆発する音と共に強烈な水流が近くの海獣諸共、魚型海獣を襲った。
マクシミリアン版ウォーター・ショット、別名ウォーター・キャノンの通った後には、原形を留めない肉塊だけが海上に漂い、氷山周辺の海は血に染まった。
……
この時、上空のベルギカ号の甲板では、大きな歓声が上がっていた。
「圧倒的だ!」
「かの『烈風カリン』と良い勝負なのでは?」
「トリステイン王国万歳!」
水兵達は、マクシミリアンの勇姿に拍手喝采だった。
コマンド隊の面々もこの光景を見ていた。
「我々は必要ないのでは?」
派遣部隊隊長のデヴィットがポツリと呟いた。
「殿下が特別なのですよ。全てのメイジがあの域に達する事は無いでしょう。そうですとも!」
派遣部隊のムードメーカーのヒューゴが、鼻息荒く言った。
もう一人、狙撃銃を持ちメインマストのてっぺんで執事のセバスチャンと周囲の警戒をしてる男が居た。彼はジャックという平民出身の元猟師で、ストイックな性格で取っ付きにくいがコマンド隊でも屈指の射撃、取り分け狙撃の名手だった。
ジャックは、アニエスの様にトリステイン製ライフルを持たず『場違いな工芸品』で完全武装していた。トリステイン・ライフルは、まだ実験段階の言わば初期ロットで、予想される故障を嫌っての行動だった。
彼ら三人とアニエスを加えての、計四名がコマンド隊の派遣部隊のメンバーだった。
一方のアニエスはというと、水兵に混じってマクシミリアンの戦いを心配そうに見ていた。
「……がんばれ」
言葉が口から漏れた事気付き周りを見る。幸い誰かの耳には入らなかったようだ。
アニエスは、氷山の上で戦うマクシミリアンを祈るような目で見続けた。
『ウォォォーーッ!』
ベルギカ号で、再び歓声が上がった。
我ら
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ