第五十三話 ドゥカーバンクの戦い・中編
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「詳しい事は食堂で。私はすぐに戻らないといけないので、すみませんが、早目に移動をお願いします」
そう言って、アニエスはライフル銃を抱えて部屋を出て行った。
「……ああ、行ってしまったわ」
「兎も角。ミス・ヴァリエール、私達も移動しましょう」
シュヴルーズは、書いていた日記を小脇に抱え、いそいそと必要な物をポケットに突っ込んでいた。
☆ ☆ ☆
先に戦端を開いたのは、海獣でもなくベルギカ号でもなく、ベルギカ号の周りを警戒していたウォーター・ビット達だった。
ウォーター・ビット達は、一部をベルギカ号に護衛に残し、海獣の集団へと飛び去り海上を航行する海獣達に『ウォーター・ショット』を放った。
「ギャオオオオオッ!」
最初の獲物はシー・サーペントで、ウォーターショットの集中砲火を浴び、血塗れになって海に没した。
だが、海上を航行する海獣は今だ膨大で更に多種多様だった。前出のシー・サーペントもまだまだ数は多く、30メイルもあろうかという巨大なサメまで確認された。他にも魚型やトドに良く似た海獣も多く居た。海中で見えないが先ほどのイッカクモドキも、かなりの数が居た。
ウォーター・ビット達はもぐら叩きの様に海上に現れた怪獣を片っ端から打ち抜いていった。
しかし、多勢に無勢。一向に海獣の数は減らなかった。
基本的に海獣は空を飛べない為、上空から一方的に攻撃する事が出来た。だが、マクシミリアンからの魔力供給も無く戦い続けた結果、一つまた一つとウォーター・ビットは魔力切れを起こし、ただの水に戻っていった。
そんな時だった。
海上に100メイル弱の氷山が現れたのは。
突如、進行方向に氷山が現れた為、シー・サーペントの一匹が氷山に乗り上げてしまった。
「待たせたな。ここがお前達の墓場だ!」
声の主はマクシミリアンだった。
マクシミリアンは、氷山の中央の山頂付近に立ち、海獣達を挑発した。
この氷山を作り出したのは彼だった。足場を作る事と自ら囮になることで、ベルギカ号に追っ手を差し向けさせない為でもある。
新たにウォーター・ビットを唱えなおし、マクシミリアンの周りにはウォーター・ビットが近衛兵の様に周りを固めていた。しかもマクシミリアンからの魔力供給のお陰で魔力切れを起こす事はない。
氷山に乗り上げたシー・サーペントは、突然の出来事で気が動転したのか、氷山の上で暴れ回っていた。
「せっかく作ったのに、壊れてしまうじゃないか」
マクシミリアンは、スペルを唱え『アイス・ストーム』をシー・サーペントに放った。
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